澪「海外留学?!!」
「北川コーチ、が?・・」
正章「はい!年明け早々に!」
彼女は母校と関係の在るアメリカの某校へと留学の計画が待っていた。
期間は一年である。
そのアメリカの大学は、何人ものオリンピックメダリストを排出している名門校であった。
そして更にその大学の存在する州立のスポーツ施設にも頻繁に伺うと云う。
澪「だから・・・」
「そう!!・・だから私を試したのね?!!」
正章「えっ?・・試したって?」
澪「ううん!・・何でも無いの!」
賢い彼女は康子の意図を読む事が出来た。
彼女は康子から後継の指名を受けたのである。
澪「現役の私に・・か!」
「・・・・・」
(でも・・二人の関係は依然として・・)
(謎のまま!)
(・・まぁ、仕方が無い、かな?・・)
彼女は一先ず、康子の気持ちに触れられた事が嬉しくも有り収穫でもあった。
そして季節は冬になる。
巷ではクリスマスソングが流れ、年末の慌ただしさが際立って来る。
年が明ければ康子は一年間の修行の旅に出る。
そんな或る日。
協会の或る部屋で数人の委員と渡米の打ち合わせをして居た彼女は・・・。
康子「それじゃあ、これでお終いね?!」
「後の細かい作業は、向こうへ行っても出来るのよね?」
委員「ええ!・・北川さん!」
「良い旅を!!」
康子「もうっ!旅だなんて・・」
「私!物見遊山に出掛ける訳じゃあないのよ?(笑)」
委員「ははっ!(笑) そりゃそうだ!!」
彼女は旧知の仲間と親しそうに談笑をしていると・・。
康子「・・うっ!!・・ふっ、うぅっ!!・・」
委員「どっ、どうしたんですか?・・北川さん?!」
彼女は気分が優れないのか、口をハンカチで抑えて手洗いへと駆け込んで行く。
康子「うっ、おっ!、おぇっ!!・・ぉえぇぇっ!!」
「・・はぁ! はぁ! はぁ!・・」
数日前から続くむかむかした体調に、彼女は或る確信を得る。
康子「・・ひょっとして・・彼、との?・・」
彼女は仕事の帰りに薬局へ寄り、妊娠検査薬を購入する。
康子「生理周期が多少乱れるのは選手の頃から
慣れてはいたけれど・・・」
「よしっ!!これで使用OK、よね?」
彼女は早速、検査薬を使用する。
康子「これって?・・・」
「・・これは確かに、陽性反応・・だよね?・・」
「・・・ようせい、はんのう?・・・」
彼女は検査薬上では妊娠の兆候が見られたのだ。
康子「・・わたしと、まちゃの・・」
「・・・・・」
「ふたりの・・ふたりだけ、の」
「赤ちゃん?!!」
彼女は自らが制御し得ない程の感動をたった一人で味わっていた。
康子「ダメダメ!!」
「先ずはちゃんと検査に行かなくちゃ、ね?」
そんな熱い想いを胸に、彼女は翌日クリニックへと向かった。
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