私は感じたことのない高揚感に少しの間うっとりとしていた
不思議そうな目でラブはわたしのことを見つめていた
「ほらみて、ラブみたいでしょ♪」
そんな気持ちを隠すかのように彼にそう言った
"ママはまだ帰ってこないよね…"
リビングにある時計を見つめ、母の帰宅時間を確認した
"…まだ帰ってこない…"
私の中にふつふつと今までになかった感情が沸き上がってくるのがわかった
身体の芯が熱く、なぜだが呼吸も荒くなっていた
「ラブ…二人だけの秘密だよ…」
そう言い私は、見つめるラブの前で手を付き犬のように四つん這いになった
その瞬間、全身がゾクゾクとした
"こんなところママに見られたら怒られちゃう"
そう思うと余計に身体が熱くなるような気がした
ラブは私の顔をじっと見つめ、ペロペロっと優しく頬を舐め
着いてこいっと言うかのようにトコトコと走っていく
「ぁっ‥ラブ待って」
私もまだ慣れない体制のまま彼のあとを追う
少し歩いてはこちらを振り返り着いてきているのを確認するかのように…
そして彼はキッチンの隅にある自分のエサ置き場へ私を連れてきた
"ペロペロツ//ペロペロッ//"
器用に舌を使い水を飲んでいる
すると鼻を使いその水皿を差し出してくれ
た
「わたしにくれるの?」
いつも見慣れていたはずのラブのお皿だけど、この日はいつもとは違うものに見えた
例えようはないけど、なにかとても特別なものに…
私は恐る恐る皿に顔を近づけた
なぜだか息が上がり震えていたのを覚えている
"ラブのお皿…これ飲んじゃったら…"
子供なりに恐怖してたんだと思う
ラブは座ったまま、まるで私を見下しているかのような目だった
私は意を決して、舌を出し ペロッ// っと水を飲んだ
少量だったけど、自分的にはすごく大量に飲んだ気がしゴクリと喉が鳴った
それを見たラブはどう思ったんだろう
彼は私と向かい合い水を飲みだした
私も彼のことを真似しながら水を飲んだ
あの日の水の味はいまでも覚えてる
あんなにおいしい水を飲んだのはあの日だけ
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