JCと子作りしませんか? 第二章21
月曜の朝が来た。
もう3日目である。
昨夜の二人は、結局、あの交わりのみで終わった。
と言うよりも、それが全てであった。
あくまでも一期一会の場であって、それ以上の意味は無い。
その先に踏み込めば、あとは肉欲のぶつかり合いであるだけだ。
二人には、それがよく判っていた。
美香「人と人との交わりは難しいです」
「数式の様には割り切れないんだなって」
「藤田さんには感謝しています」
迎えの車を待つ一階のラウンジで彼女が言った。
そして、予定の時刻通りに車が現れた。
彼は彼女の荷物を持とうとして屈んだ後、顔を上げた瞬間、いきなり彼女に唇を奪われた。
美香「ねっ! 割り切れないでしょ!」
彼女は微笑みながら車に乗り込んで行った。
彼女はこの先、語学に専念したいと言っていた。
海外留学を念頭に置いているらしい。
そして彼も帰途に就く。
明日からまた仕事である。
今回の旅も心から満足の出来るものであった。
仕事に戻った雄一郎は、相変わらず忙しい日々を送っている。
今は今朝のワイドショーの打ち合わせをしている。
そこにあの須藤恭子が現れた。
彼女は周りのスタッフと談笑をしている。
そして一区切り着いたのか、こちらの方へ向かって来た。
「藤田さん、いつもお世話になっております」
と彼女は言って、軽く頭を下げた。
「いや、こちらこそ」
と社交辞令で返すと、顔を寄せて彼女が言った。
「式の招待状、送っといたわよ」
「まぁ、来る、来ないは貴方の都合次第かしら?」
「では、失礼いたします」
と言って、口元に笑みを湛えながら向こうへ行ってしまった。
彼は、彼女のメンタルタフネス振りには到底敵わないと思った。
彼の忙しい日々は続く。
あの3人の美少女達との出来事も脳裏に浮かばなくなって来た或る日、一通のメールが届く。
何と、あのアンナに妊娠の兆候が現れたと云うではないか。
彼は急いで、あの相談所の会社に連絡を取った。
すると、近く彼女との面談をセッティングすると云う。
そして、その日。
彼女と再会を果たした。
彼女とは一切の会話をしなかった。
というか会社の方から、「なるべくは」と釘を刺されていた。
しかし彼女とは眼と眼で充分に会話が出来た。
そして、話し合いで決まった事は、一切の養育は彼女に任せるというものだった。
勿論、養育費は彼が支払う事になっている。
更に向こう4年間は会社が責任を持って見守ってくれる事になった。
アンナとは握手をして別れた。
必ず4年後には迎えにゆく。
最後に眼と眼で再会を誓った。
彼の胸は切なさでいっぱいになった。
そして4年の月日が流れた。
彼は今、アメリカのJFK国際空港に居る。
アンナとの再会を果たす為である。
電話で連絡を取り、ここまで迎えに来てくれる事になった。
ラウンジスペースで彼女の到着を待つ。
今まで色々な事があった。
彼の脳裏には走馬灯の様に浮かんで来る。
日本を経つ前に或るニュースを聞いた。
桜川美玲選手、日本代表に選出とあった。
彼女も頑張っている。
彼も嬉しくなるニュースであった。
そして、向こうから見覚えのある女性が子供を連れて歩いて来るのが見える。
アンナだ。
そして、傍らには娘のリサが居る。
「アンナ!」
「雄一郎サン!」
二人は熱く抱擁した。
もう、二度と離れ離れになる事は無かった。
娘のリサが二人を微笑みながら見つめていた。
終わります
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