JCと子作りしませんか? 第二章3
アンナは
「これ、普段着だから」
と言って、別室へ着換えに行った。
車内で日本語が本当に上手いねと聞いたら、母に習ったと教えてくれた。
お母さんとは死別をしたらしい。
父と二人暮らしだという。
更に、日本に来て3年と少し、などと言っていた。
学校や勉強にも慣れて来たという。
などと思い出していると暫くして、彼女が着換えを終えてやって来た。
見事なドレス姿であった。
シルバーのシルク地で彼女のウエストの細さを、より強調する様な絞ったデザインは、まるで彫刻の様である。
その上に載る、小さく美しい顔と亜麻色のロングストレートの髪。
正に女性の理想のコンビネーションであった。
この、余りにも美しすぎるパートナーでは目立ってしょうがない。
今更、また着替えろとも言えず、ここは先ずルームサービスで乾杯となった。
運ばれてきたシャンパンをグラスに注いで、二人で、カチンとグラスを鳴らし彼は一気に飲み干してしまった。
それを見たアンナが、クスっと笑った。
彼は、あれ、失敗したか?と思ったが、敢えて胡麻化すつもりで
「んっ? なにか?」
と、落ち着いて見せた。
彼女は、くすくすと笑いながら
「いえ、何でもないです」
と言った。
実は彼女は、アナの藤田雄一郎の名を知らなかったらしい。
それで、どんな年配者が来るのか、不安で一杯だったのだ。
そこに登場したのが彼だったので、ふっと気が緩んだそうだ。
「だって藤田さん、どう見ても20代後半だったから」
なんて、嬉しいことを言ってくれる。
少し酔った二人は、浴衣に着替えて共同露天風呂へと向かった。
入口で別れた二人は、それぞれがのんびりとお湯を楽しんでいる。
彼は思った。
「まるで若い女の子とデートをしている様だ」
しかし彼は、返ってその方が良かったと思った。
緊張している娘との一夜は辛いからだ。
返って、割り切った関係の方が精神的に楽である。
まさか、契約会社の方がそこまで考えてのセッティングなのかと、ふと思いもしたが、まさかね、と思い返した。
露天風呂の入口で少しの間待っていると、彼女が出て来た。
不思議な感じがした。
顔はどう見てもハーフ然としているのに、全く違和感を感じない。
いや、むしろ懐かしいような、何というか。
余りに雄一郎が彼女を見つめるので、彼女から
「あの、どうかしましたか?」
と、問われてしまった。
何はともあれ、これから彼女と一夜を共にする。
二人にとって、大事な時間が迫っていた。
続きます
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