「それじゃあ脱いでくるから待っててね。」
少女が隣から離れようとしたとき、俺の中にある考えが浮かんだ。トイレに行こうとする少女を呼び止める。
「ねえ、メダル全部あげるから、少しだけ触らせてくれない?」
今度は少女が嫌な顔をする番だった。
「えー、それはやだ。」
まずい、流石に警戒されてしまったか。通報なんてされたら一発で終わりだ。しかし、今の俺には引き下がるなんて選択肢は無かった。
「じゃあ、お金。お小遣いあげるから、どう?」
これでは完全に援助交際をする不審者だ。まあ、この少女の下着を買おうとしている時点で既に立派な不審者ではあるが。
しかし、そんな俺の怪しげな誘いに少女は興味を持ったようだ。
「え?お金?いくらくれるの?」
「いくら欲しい?」
「んー、ちょっとだけなら2000円でいいよ。」
少女が提示する金額に驚いて、声が出そうになる。援助交際の相場なんて知らないが、これは安すぎではないか。何か裏があるのかと疑うが、考えてみればこの少女は自分の下着をゲーセンのメダルで売ろうとしていた。もしかしたら金銭感覚は案外子供なのかもしれない。自分なりに考えをまとめ、俺と少女は秘密の契約を結んだ。
取引場所は少女の意向で店のトイレになったが、2人同時にトイレに行っては怪しまれる。ということで、先に少女がトイレで待機し俺がそれを追いかける形となった。トイレに行く少女を見送ると、店内をぐるりと見渡す。まずは、店員や他の客に見られていないかを確認する。もし誰かに見られていたら、俺はすぐさま店から出なければいけないのだが、それは杞憂だった。次に、お目当ての物を発見する。両替機の横に置いてあるプラスチックのカップだ。メダルの入れ物として、店内でなら自由に使って良いらしい。メダルが全部入りそうな大きさの物を選び、メダルを入れていく。このメダルはただのメダルではなく、少女と取引するための金貨だ。メダルを鞄にしまうとなるべく自然を装いトイレへ向う。
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