秋が過ぎ、冬が終わり、別れの季節がやってきた。
部屋の荷物を全部トラックに積んで、ガランとした部屋に奈々が訪ねてきた。
「お別れだね、お兄さん・・・」
「本当は、奈々をお嫁さんにして連れていきたいよ・・・」
「奈々だって・・・ついていきたいよ・・・」
カーテンも無いから、外から丸見えの室内でキスした。
最後のセックスは、前の日にタップリとした。
「奈々、さようならだ・・・」
「うん・・・」
玄関を締めて、鍵を大家へ返した。
奈々と並んで歩いた。
奈々と出会ったコンビニの前で、
「奈々、ここで出会ったんだから、ここで別れよう。さよなら、奈々・・・」
「お兄さん、さようなら・・・」
俺は振り返らずに足早に歩いた。
交差点で、振り返ることなく手を振って曲がった。
チラッと横目で見たら、遠ざかる奈々の寂しそうな後ろ姿が見えた。
故郷に戻り、社会人になった。
恋愛、失恋を繰り返し、疲れていた27歳の年末、学友の誘いで卒業5年の忘年会を大学のある街で開催した。
集まった8人全員まだ独身で、婚約した奴が1人だけいた。
懐かしい街で呑んだくれた。
翌日、それぞれ宿を出て帰路についた。
俺は、4年間暮らしたアパートを見に行った。
何もかもが懐かしかった。
奈々と過ごした2年が鮮やかに蘇った。
奈々と出会ったコンビニで缶コーヒーを買って、店の前で飲んでいた。
「お兄さん・・・」
紺のブレザーに赤いリボンの黒髪の女子高生が首をかしげて微笑んでいた。
「奈々・・・か?・・・」
コクリと頷いた。
「奈々・・・ウソだろっ!」
「何でここにいるの・・・」
思い切って言ってみた。
「奈々を、迎えに来たんだ・・・」
「うわーーーん・・・・」
一目もはばからず泣く奈々にたじろいだ。
奈々との150㎞離れた遠距離恋愛が始まった。
「お兄さんと別れた後、たくさんの男の子に告白されたけど、付き合えなかった。」
「なんで?」
「中学生、高校生でセックスの経験が豊富なんだよ。処女じゃないってだけでも引かれると思うんだ。だから・・・」
そして奈々の二十歳の誕生日にプルポーズした。
あれから21年が過ぎ、俺は50歳、奈々は41歳。
11歳で処女喪失をした奈々は、セックス歴30年の黒マンコだが、実に清楚な美形お母さんだ。
もちろん、今でもセックスは続いている。
そして、あの8ミリビデオが10年前に奈々に見つかって、
「ウソだろっ!」
と奈々に白い目で見られたが、その8ミリビデオはDVDにダビングして、今も残っている。
たとえ誰かに見られても、画面も荒いし、俺達夫婦の29年前のセックスだとは誰も気づかないと思う。
でも、もし俺たち夫婦の29年前のセックス動画だと知ったら、画面左上の「1987.12.23」の日付を見て、大学3年生と小学6年生のセックスと知って、
「ウソだろっ!」
と叫ぶだろう。
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