「ねぇおじさん、わかってる?」
「ん?」
「あたしが、おじさんにメロメロになったのは…」
「メロメロ?僕に?」
彼女の言葉があまりに意外だったので、思わず聞き返してしまった。
まいは一瞬、『しまった!』という顔をしたが、すぐに怒ったように
「そうでなきゃ、こんなところまでひとりで来る訳ないでしょ?来ればこうなるって、分かってたんだから…」
そうだったのか…
絶句している私をよそに、まいは続けた。
「…なったのは… キャンプ教室の夜、おじさんにうんときもちくしてもらったから…とかじゃなくて…」
『ちがうの?』
私は思わず言いそうになって、辛うじてその言葉を呑み込んだ。
「今日とおんなじ。あのときあたし、はずかしいくらい感じちゃって…だからもう、最後までされても、文句言えないなって、覚悟してたの。でもおじさんは、あたしが怖がったら、止めてくれた。それで、やさしーなって思って、キュンと来ちゃって…」
そう。確かにあの夜私は、修羅場にしたくなくて、何とか欲情を押さえ込んだ。
だが、元はと言えば、私がよばいをかけて強引に誘い出したのではないか。
自分が学生の頃は、もし女の子とデートして、そういう雰囲気になったとしても、拒否されたら止めるのが常識だった。それを無視してやろうとする男は、周囲から非難されたし、訴えられても文句は言えなかった。
今は、止めないのが普通なんだろうか?
無論、彼女がそんな風に思ってくれるなら、ありがたいことなのだが。
「それに、別れ際に、ギューしてくれたでしょ?」
「ああ…」
「あれでもう、イチコロ。すごく求められてるなって、嬉しくなっちゃって…」
どうも、まいが私に恋愛感情を持ってしまったのは事実のようだ。
しかし私の方は?
彼女を強く求めているのは確かだが、それは恋愛なのか。単なるロリ性欲なのか。
自分でも区別がつかなくなっていた。
そのためか、中年痴漢よばい男のくせに、少し弱気になり
「ありがとう。すごくうれしい。でも、いいの?こんな妻子もちの中年と付き合ったって、なんの未来もないよ?」
「みらい?」
まいはキョトンとした。
「…結婚とか、そういうこと? そんなこと考えて付き合う子なんていないよ。どうせ1年か2年でお別れしちゃうのに…」
確かにそうだ。
今の子は恋愛サイクルが早いというし、そうでなくても、小学生の交際ではそこまで意識しないのが普通だろう。
しかし、何か違和感が…
とにかく、まいが私でいいと言ってくれているのだから、付き合わないという選択肢はなかった。
「じゃあ、また会ってくれるの?」
「ん… そうだ。メアドも教えなくちゃね。ケータイ出られない時も多いから。」
ふたりでもう一度、軽くシャワーを浴びて、着替えてからメアドを交換し、私はまいを家の近くまで送って行った。
家に戻ると、家中のシーツや枕カバーをはがして洗い、干した。
乾いたあと、寝室のベッド用シーツに、愛液の染みが残ってないか、慎重にチェック。
さらに、リビング、真実、浴室回りを徹底的に掃除した。
まいの肩までの髪は、当然私や息子より長いし、茶髪の妻とは色が違う。毛1本でも妻に見つけられたら大変なことになるからだ。
帰宅した妻は、家がきれいになっているのを見て驚喜した。
ほんのわずかだが、罪悪感に苛まれた。
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