初体験だ。
この年になって、初めて体験するとは思ってもみなかった。
仕方ないと言えば、仕方ない。
男として産まれた以上、経験しない人もいるだろう。
「あなた、みそ汁おいしー?」
「…美味しい」
おままごと。
ポカリスエットによく似た味の味噌汁を啜りながら、これまたポッキーの様に細長いエビフライをサクサクと食べていた。
僕の脳内会議は、際どい判定の結果「やめとこ」という結論に至っていた。
親戚の子に手を出して、というか親戚じゃなくても幼稚園児に手を出して、万が一バレるような事があったとしたら。
ヤンキーどころか前科持ちの犯罪者になってしまう。
メンタルの弱さが僕を踏み留まらせました。
エビフライと同じ味のホウレン草のおひたしをサクサク食べていると、不意に萌が立ち上がります。
「あなた、おっ、おふろはいって!」
「?」
萌はそれまでの優秀な奥さんでは無く、子供に戻ったような。ぎこちない演技になっていました。
「ざぶーん」
僕が部屋の隅で風呂に入る真似事をすると、
「ちがうーっ!」
という奥さんからの駄目出しが。
「おふろはお洋服をきて入りません!」
「!?」
何を言っているんだこの子は。
という気持ちと同時に。
ドクン、と。何かが股間から脳まで駆け上がります。
蝉の声がうるさくなったような気がします。
「ああ、ごめんごめん」
おままごと。おままごとの続きだ。
萌は純粋な気持ちで言っているに違いない。
自分をなだめつつ、さすがに下は良いよな。
と、上半身だけTシャツを脱ぎます。
「わたしも入るね…」
一瞬。ドキッとする程、艶めいた笑顔で。
萌も、Tシャツを脱ぎました。
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