化学療法が始まると愛の白く透き通る様な肌は段々と変色していった。辛いはずなのに愛は俺が仕事帰りに顔を出すといつも笑顔を作り、苦しむ姿をけっして見せなかった。そして二週間が過ぎた頃、愛の髪が抜け始めた。休みの日に俺はニット帽を買って持っていった。消毒をして貰い看護師さんが愛に渡した。「晃一さんありがとう」と言って愛は喜んだ。俺は無菌室の外で帽子を取った。愛は俺を見て驚いていた。「えっ!?…晃一さん…その頭…えぇっ!?」そう俺は坊主にしたのだ。「似合う?」と聞くと愛はお腹を抱え笑った。「ひぃ…苦しい…止めて…」と言ってまた俺を見ると「くくっ…ははははっ…オェっ」と笑った。「もうっ晃一さん…そこまでしなくても…ぷっ…くっ…笑い死にする…くくくっ」と涙をこぼし笑った。「そこまで笑わなくても…」「ゴメンなさい…はぁ…苦しかった…」「元気出た?」「うん…ありがとう」「病気した時は笑うのが一番だからな」「何それ?」「よく言うだろう?病は気からって」「そうだけど…笑い死ぬかと思ったよ」と言った。
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