「愛…あのな…」俺は愛に伝えた。すると意外にも愛は泣かずに「そうか…どっか行っちゃったんだ…」と呟く様に言った。俺は何も言えなかった。愛は「お風呂洗わなくちゃ」と言って風呂場に行った。シャワーを出して泣いているのが分かった。俺は聞かない様に縁側に出てタバコをふかした。暫くして愛は出てきて夕飯を作りだした。俺は「タバコ買って来る」と言って家を出た。ケーキ屋に行ってケーキを1ホール買った。家に戻って縁側にケーキを置いて何食わぬ顔で「ただいま」と言って中に入ると夕飯が出来ていた。「食べる前に」と言って縁側に行きケーキを取り出し、一本のローソクに火を灯し中に運んだ。そして「愛…誕生日おめでとう」と言ってコタツに置いた。愛は「えっ?今日誕生日じゃないよ?」と不思議な顔をして言うので「今日が新しい愛の誕生日だよ」と言うと、愛はその意味を理解して「晃一さん…ありがとう」と言って涙を零し火を吹き消した。「今日はひとつだけ願いを聞いてあげるよ」とご飯を食べながら言うと愛は考えた。
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