「ああ、もちろん。でもちょっと待って。なんで僕の部屋まで来てくれたの?」
「えっ?…だって、あなたがしたいって言うから…」
「そりゃ、したいよ!君とだったら何回でも。けど、僕は君に毎日痴漢して、昨日はレイプまでした悪人だよ?なのにどうして…」
すると彼女はキョトンとした顔をして、ちょっと考えてから、
「そうか…あたしヘンかなぁ?まだちゃんと告白してもらった訳でもないのに… あ、でも昨日、キスしちゃったし…」
僕は益々ワケが分からなくなった。
キスとか告白とか、それじゃまるで…
僕が何と返していいか迷っていると
「それに昨日、壁ドンして守ってもらったし、その前から、毎日私の駅まで来てくれて…」
彼女の話は時系列がゴチャゴチャだったが、総合するとつまりこういうことらしい。
1ヶ月ほど前から、僕はほぼ毎日、彼女が乗る駅に通い、一緒に電車に乗り込んだ。それを彼女は、熱心な求愛行動と受け取った。(世間的に見たら、良くてもストーカーだが、セレブのお嬢様というのはその辺が少しズレているらしい。)
そして、毎日触られている内に、何となくカップルになったような気になっていた。そこへ昨日、セックスを迫られた。最初イヤがったのは、僕とするのがイヤだったからではなく、単にロストバージンが怖かったから。でもファーストキスまでしてしまったので、『これはもう絶対彼女にしてもらうしかない。それなら最後までしてもいいかな』と考え、あとは抵抗せずに身を任せた。
ここまで理解しても、まだ僕にはまだ違和感があった。
《刷り込み効果》ある種の鳥が、生まれて初めて見る動く物を親だと思い込むように、女の子も、たとえ初体験がよばいやレイプだったとしても、後付け的にその相手に好意を持つようになる という話を聞いたことがある。だが、美咲ちゃんの話をが本当なら、彼女はもっと前から僕を彼氏のように思っていたことになる。
それとも彼女は、『中学校への通学途中、痴漢師に電車のトイレに連れ込まれ、立位で挿入された』という最低の初体験の記憶を、『前から気になってた人に強引にセックスを迫られたので、仕方なく許してあげた』というストーリーに無理やり脳内変換させようとしているのだろうか?
僕が黙って考え込んでいると、美咲ちゃんは不安になって来たらしく
「あの、もしかして全部わたしの勘違い?最初から、身体だけが目的だった…とか…」
「ち、ちがう!好きだったからだよ、もちろん。でも僕は君から見たらオジサンだし、まさか本気で相手にしてもらえるなんて思ってなかった。だから…」
言いながら僕は、『俺って最低だな』と自嘲していた。
僕があのハコに乗り合わせる、100人ものエリス女学院の女子中学生の中から、美咲ちゃんひとりを選んだのは、彼女に恋したからではない。いちばん、痴漢しやすかったからだ。
でも、『彼女の方も、僕に触られるのを喜んでくれてるんじゃ?』と思い始めてからは、美咲ちゃんと抱き合ってセックスすることばかり、一日中考えるようになった。
僕のような若い男にとって、かわいいと思った女の子を、彼女にしたい、いつも一緒にいたい、と思う気持ちと、身体に触りたい、セックスしたいと思う気持ちに、どれだけの差があるだろうか?
美咲ちゃんは僕の返事を聞くと、安心したようにニコッと微笑み、「シャワー、借りますね」と言って立ち上がった。
「あ、こっち」
僕は彼女をバスルームまで連れて行き、真新しいバスタオルとバスローブを出してあげた。
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