ゆうの悪さの噂を聞いたのは、私達が中2の年の初夏の頃。ゆうからその電話がかかってきたのは、その年の秋だった。
ゆうのお寺では、毎度春と秋に、古い経典の虫干しをするが、量が多くて住職とゆうだけでは大変なので、村の子どもたちが交代で手伝いに行かされていた。
その夜、ゆうは電話で、翌日手伝いをする予定だった1年の男子が都合が悪くなったから、私に代わりに来てほしいと言った。
私はふたつ返事でOKしたが、電話を切ったあと、ふと気になって、その1年の男子の家に電話をした。
すると彼は
「違うよ。明日は住職が病院に行くことになったから、作業は中止だって、さっきゆうさんから…」
と、ゆうの話とは違う説明をした。
私は念の為、父の村長に
「住職って、どこか悪いの?」と聞いてみた。
すると父は
「ああ。なんか腹の中に悪いものができたらしくて、明日町の病院で検査らしいな」
と教えてくれた。
『ということは、明日はゆうちゃんと二人きり。私の順番が回ってきた、ということなんだろうな…』
私はためらった。明日お寺に行くべきか、やめた方がいいか…
お寺で二人きりになったからと言って、ロマンティックに愛の告白、という展開は、まずないだろう。多分ゆうは私に『悪さ』をしたいだけ。『悪さ』というのがどの程度までの行為のことなのか分からなかったが、お寺に行けば必ず、ゆうにエッチなことをされるだろう。いきなり抱きつかれて触られるか、暴力で脅して私を従わせようとするか… ひょっとして、処女を失うことにもなるかもしれない。
それでも私は、そうした事件により、ギクシャクした二人の関係に変化があるのでは、という期待に逆らえず、翌日の放課後、知らん顔てゆうのお寺に向かった。
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