とにかく家に早く帰ろう。
そんな時、教室に戻ったカナエに話しかけてきたのは同じクラスのノゾミ。
話がある、とカナエを教室から連れ出したノゾミが向かったのは図書室。
試験前でもない為、生徒の姿は見当たらない。
一刻も早く帰宅したいカナエは、黙り込むノゾミを急かす。
意を決したように、しかし、遠慮がちに呟くように問いかけるノゾミ。
「カナエ、ポチってるの気付いてる?」
『ポチってる』、それは思春期の入り口に立つ少女達の最初の関門。
個人差のある発育具合により生じる個体差と表現したら良いのだろうか。
胸の膨らみ具合によっては、ブラジャーを着けるまでもない場合、もしくはブラジャーを着けること自体に気恥ずかしさを覚え、素肌の上にキャミソールやタンクトップなどのインナーシャツのみを身に付けるケースがある。
カナエの場合、まさにこの両方の理由からブラジャーを着けていなかった。
この時、注意するべき点が『ポチらない』ことだ。
汗でインナーシャツや体操服が素肌に貼りつく、何らかの理由で乳首が尖ってしまう、それらが重なった状態で身体を反らせたりした場合、『ポチ』ってしまうことがある。
つまり体操服の上から乳首の形が透けてしまうのだ。
「え?嘘?」
ささやかな膨らみを体操服の上から腕で覆うカナエ。
だが、なだらかな少女の膨らみには不釣り合いな程に尖った乳首が、手に触れた瞬間、カナエは悟ってしまう。
確かにポチっている。
「それに、さ。」
黙り込むカナエに向かい、更にノゾミは追い討ちをかける。
「昼休み、トイレで・・してたでしょ?」
※元投稿はこちら >>