危ないところであった。
下着を穿いていないことを知られるどころではない。
学校のトイレで自慰に耽っていたことなぞ、誰かに知られたらカナエの学校生活が破綻することは間違いなかった。
だが、その危険性を思う時、身体を内側から焦がす暗く淫らな炎の存在にカナエ自身が未だ気付いてはいない。
五時間目、六時間目と午後の授業を上の空で聞き流し、後は清掃を終えれば放課後、そんな時に限って間が悪いことに今日のカナエはサーキットであった。
サーキット、それは清掃の時間を使って行う体力作りのことだ。
カナエの学校では生徒の半分を清掃に、残りの半分をサーキットと称する体力作りに充てることになっていた。
サーキットに向かう生徒達は、白いポロシャツのような体操服とハーフパンツ姿で体育館に向かう。
薄く小さな布切れ一枚が足りないだけで、ここまで心が乱れてしまうとは。
カナエにとっては心細い限りであった。
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