ある日を境にノゾミを取り巻く環境は、劇的な変化を遂げることになる。
路地裏に引き摺りこまれ、輪姦されている場面に出くわした婦人警官に保護されたノゾミは、治療の為、心理的な加療を施す施設に収容されたのだ。
経口避妊薬を処方されてはいたが、妊娠こそ回避出来たとしても性病や性器への負担は無視出来ないリスクである。
様々な検査やカウンセリングが施され、結果として加療は長期に渡ることとなり、遠方の施設に移ったノゾミが、その地域に再び姿を見せることはなかった。
回復しないのであれば、姿を見せることは不可能であろうし、回復したのであれば、姿を見せることは憚られるであろう。
数年もすれば、誰もがノゾミのことなど思い出しさえしなくなっていた。
唯一人を除いて。
あの日、下着を忘れなかったならば・・・
彼女の人生もまた、今とは違う展開を遂げていたかもしれなかった。
同じ歳頃の少女達とは一線を画し、中学時代から甚だ奔放な性を愉しむことが出来たことが、ノゾミのお陰であったのは間違いない。
一時はノゾミに隷属しながら屈辱的な奉仕を強要され、危うく男子生徒達からの輪姦被害を受ける処だったことさえあったのだ。
あの日、輪姦を示唆していたノゾミを逆に陥れて以来、彼女は精神的にタフになっていった。
そのこと自体については、礼を言いたい程である。
敢えて恨み言のひとつも口にするのであれば、当時の内気で控えめな少女が、カナエの精神がタフになっていく過程でその内面を変化させざるを得ず、結果として消えてしまったことが惜しまれた。
どちらの自分を選ぶのかと今、問われれば、カナエが選ぶのは今の自分であることは間違いないのだが。
完結
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