奇跡的にも、その出来事によりノゾミが妊娠することはなかった。
適切な処置をした上で行為に臨んだカナエにおいては、当然の如く一切の問題は発生しなかった。
だが両者の学校内における位置付けは、これ以降、似て非なる変遷を辿ることになる。
二人は揃って学校内の性的な欲望の的となっていった。
異なるのは、周囲からのアプローチ方法であった。
カナエの場合、彼女の意に染まぬ行為、相手、シチュエーションは断固として拒否し、行為に及ぶこともない。
自分の体調、都合、好み等、全ての要素を考慮に入れた後、初めて行為に及ぶ。
そして、その選択は尊重されていた。
ノゾミの場合は悲惨を極めることになる。
淫らな牝としてのレッテルを貼られて以来、彼女の意向は軽視されていた。
いや、軽視というよりは無視されていたという表現が的確かもしれない。
『襲ってしまえば、後は何とでもなる女』
人間扱いをされていなかったと言っても過言ではない。
登校途中、休み時間、放課後、下校中、そしてプライベートにおいても、彼女は意に染まぬ行為を強要され続けていた。
着衣を乱したまま、教室に姿を現わすのは序の口であり、酷い時には学校の片隅で半裸の姿を晒してすらいた。
いや、時には淫らな行為を暗示するような形跡すら、教室で晒してしまうのである。
教師も含め、誰もがノゾミの存在を敢えて意識しないようになっていく。
公衆便所という隠語が意味する『いつでも誰でもご自由に』を体現するような存在、それがノゾミであった。
もちろんノゾミとて、そんな状態を良しとしているわけではない。
だが、一度、複数の男子に囲まれるや否や、ノゾミの昂ぶりは一挙に沸点に達してしまう。
ノゾミの心に潜む闇から淫らな獣が姿を表せば、彼女の理性は消し飛んだ。
昼休み、教室移動、放課後。
教室、体育館、更衣室、倉庫。
誰かがノゾミの腕を掴む。
反射的に掴まれた腕を振り払う素振りを見せる。
だが、振り払う素振りは一瞬。
次の瞬間には振り払う動きから力が抜けてしまう。
その後の展開が想像されるや、ノゾミは急激に昂ぶり始める。
何人かの男子生徒に取り囲まれ、乱暴に衣服を剥ぎ取られる頃には、充分に潤ってしまう程だ。
剥ぎ取られる衣服が傷む為、いつの頃からかノゾミは自ら服を脱ぐようになる。
全ての腔という腔に様々なものが挿入された。
指や男性器はもとより、秘かに準備されていた性具、果ては野菜、飲料の空き瓶など、手頃なサイズであれば挿入を試されるモノは数知れず。
途中で折れてしまったキュウリを抜き取ることが出来ず、挿入したまま授業を受けたことすらあった。
加害者は異性とも限らない。
序列の低い他の女子生徒を相手に、屈辱的な奉仕や排泄行為を強要されることもあった。
そんな日々が繰り返される中、当然の如くノゾミは妊娠してしまう。
中学一年生の冬から二年生の初夏にかけて、ノゾミは二度の妊娠と堕胎を経験した。
事態を重く受け止めたノゾミの両親と教師が転校を勧めたが、彼女は頑として首を縦に振らない。
消極策として『重篤な生理不順の解消』の名目により、ピルが処方されたノゾミが妊娠することは無くなった。
ヤリマンのノゾミだ。
何でもさせてくれるらしいぜ。
あいつもやったらしい。
え、お前も?
ピル飲んでるから妊娠しないってよ。
じゃあ俺も。
妊娠のリスクが解消されると同時に、周囲の罪悪感が軽減されたのだろうか、ノゾミが被害を受ける機会は増え始める。
学校内だけではない。
クチコミで拡散された情報により、下校途中の公園、廃屋、自動車の中で蹂躙されるノゾミ。
二年生の秋には襲われた際の一部始終を録画した画像が実名で流出し、いつの間にかノゾミは学校内だけではなく、地域一帯の『公衆便所』となっていた。
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