「・・カナエ、少しだけいいかな?」
二週間程経ったある日の放課後、ノゾミは下校しようと昇降口へと向かうカナエに声を掛けた。
まるでそこにノゾミがいないかのように素っ気ない態度を取るカナエ。
大いに傷つきながらも、食い下がるノゾミの誘いに根負けしたカナエは、渋々ながら付き合うことにする。
二人の少女は無言のまま、校舎の中、視聴覚教室に向かい歩き始めた。
視聴覚教室、それは文字通り、画像、音声を用いた授業を受ける為の施設であり、防音性と遮光性に特化した設備がなされている。
視聴覚教室に到着すると、ノゾミは後ろ手にドアを閉め、内鍵を掛ける。
「・・ノゾミとする気は・・無いよ・・。」
毅然とした口調でノゾミを拒絶するカナエには、かつてのような怯えは見られなかった。
カナエの拒絶に胸を抉られながらも、ノゾミは不敵な笑みを浮かべつつ言った。
「・・いいの。分かってる・・。」
「分かってるならいいけど・・。」
「それに今からカナエがするのは、あたしと、じゃないもん・・・。」
緊張のあまり語尾が震えるノゾミのセリフに対し、意味が分からないかのような表情を浮かべるカナエ。
がた、ゴソ、カタン
振り返るカナエの視界に入ったのは、全裸の男子が五人、その誰もが紙袋で顔を隠しているのはプレイの時と同じだが、視界が確保されているのは一目瞭然である。
「え?」
さすがに驚きの声を洩らすカナエに向かって、ノゾミは含み笑いをしながら告げた。
「すきなんでしょ。男子のアレ・・。」
「・・・・・」
黙り込むカナエに饒舌に語りかけるノゾミ、じりじりと近づいてくる全裸の男子達、その股間には合計で五本の男性器が反り返っている。
その時であった。
カナエはブラウスのボタンをゆっくりと外し始める。
全てのボタンを外し終えたカナエは、ブラウスを、次にスカートを脱ぎ、下着姿になった。
やや紅潮した顔で男子達を見回すと、ひとつの提案を始める。
「男子が五人もいるんだから、女子が一人じゃ足らないでしょ?」
怪訝そうな表情を浮かべる六人に向かい、カナエは話しながらも下着を脱ぎ、ついに一糸纏わぬ産まれたままの姿となった。
カナエの提案、それは誰もが予想だにしていなかったに違いない。
「裸になった女子一人とするだけでいいの?」
戸惑いを隠せない六人に向かって続けるカナエ。
「無理矢理、服を脱がしちゃって二人と出来た方がいいんじゃないの?」
男子生徒五人の視線が一斉にノゾミに集まり、互いに覆面越しのアイコンタクトを取ったかの如く、ゆっくりと移動を開始した。
五人の視線に射竦められたかのように、ノゾミは身動ぎひとつ出来ずに蒼褪めている。
「あたしは逃げないから、逃げそうな方からしたらいいんじゃないかなぁ?」
ついに男子達に囲まれたノゾミは、ここで初めて抵抗するような発言をするが、怯えて上ずった声が却って男子達の興奮を煽ってしまう。
完全に術中に嵌まってしまった六人を眺めるカナエの顔には冷酷な微笑みが浮かんでいた。
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