夏休み。
二人の逢瀬は週に三回程、その大抵は学校であった。何度か野外での行為に及んだ事もあったが、勝手が違うことに不便を感じたこともあり、結局は二人のホームグラウンドたる学校、その多くは図書室での行為となっていた。
新学期も近づくある日、互いに何度か果てた後、二人が水分補給を兼ねて休憩をしている時のこと。
既に互いの裸体など珍しくもない二人は、ペットボトルを手に全裸のまま床に座り込んでいた。
「ね、この間のこと、本気なの?」
「・・この間の・・・何?」
カナエとて忘れている訳ではない。
その証拠にノゾミの顔から視線を逸らせ、俯いたカナエは、首筋まで赤くしながら、それまで大胆に開いていた脚を無意識のうちに閉じる。
「とぼけちゃって。ほら・・」
「ごめん、覚えてる、覚えてるから言わないで。」
失言であった。
その場の勢いとはいえ、言葉にしてしまった以上、その発言を無かったことには出来ない。
あの日以来、つい口にしてしまったことを後悔し、思い出す度に独り頬を赤らめていた。
『本当に犯されてみたい。』
だが、その想いは変わらない。
何度か自問自答を繰り返し、覚悟の程を自分自身に問い掛けてみたが、性行為、即ち男性器を受け入れるという行為を経験してみたいという気持ちに変わりはなかった。
もちろん避妊は必須条件として、一回限りで後腐れのない、可能であれば見知らぬ相手、だが、そんな相手が簡単に見つかる訳はない。
「カナエが本気だったら・・」
「え?何?何て言ったの?」
ノゾミの呟きを耳にはしたのだが、はっきりとは聞き取れなかったカナエは、漠然とした不安を覚えながら帰途に着いた。
※元投稿はこちら >>