梅雨が明け、夏休みを間近に控える頃には、二人の秘密の関係に気付かぬ女子は、クラスにはいなくなっていた。
それもそのはずである。
カナエがノゾミに命じられるまま、下着を穿かないで学校生活を送っていることは女子の間では周知の事実となり、カナエの序列は極めて特殊な状態で底辺に位置するようになっていた。
極めて特殊。
それはスクールカーストにおいて最下層に位置する場合、しかもそれが急激な序列の転落を伴ったのであれば、往々にしてイジメの対象となっていく。
にも関わらず、カナエがイジメに遭うことはなく、ある種の畏敬の念を以って、ただし周囲からは一定の距離を置いて接されていた。
つまりある意味では、カーストから外れたと言った方が適当かもしれない状態となっているのだ。
理由はと言えば、少女達の想像を遥かに超えたカナエの性体験に対する侮蔑と畏敬、そして何よりも憧れと妬みによるものである。
侮蔑、それは身の内からの淫らな誘惑に抗し切れず、その身を爛れた行為に委ねていることによる。
畏敬、それは経験豊富な娼婦に匹敵する程の経験をしているに違いないというイメージによる。
憧れ、これこそが思春期の入り口に立った少女達共通の興味によるものであった。
個々の精神的、肉体的な成熟度合いにもよるが、少女達の誰もが性に目覚め始めている。
性に関する知識不足により、その悩みを口にすることすら出来ず悶々としている少女達にしてみれば、カナエは圧倒的な先駆者であった。
身体の奥から溢れ始めた欲望を自慰により解消する術すら無い者が大多数を占める中、カナエは思いのままに欲望を解消し、快楽を味わう手段を手にしているのだ。
事実、僅か一ヶ月の間にカナエは変貌を遂げつつあった。
姿かたちではない。
牝として急速に成熟を遂げるカナエは、女としての香りを放ち始め、そのレベルは既に中学生としての域を超え、十代後半、いや、十代の終わりの域に向かいつつあった。
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