翌朝、カナエは普段より三十分以上早く眼を覚ます。
トイレと朝食を済ませ、制服に着替えるのだが、今日はいつもと少しだけ違うことがあった。
衣装ケースから取り出したのは一枚の下着、いわゆるスポーツブラと言われる類のものだ。
極端に丈の短いタンクトップのような下着を身に付けると、その上からキャミソール、ブラウスの順に重ねていく。
既に穿いているハーフパンツの下にパンツを穿いていることを、今朝、何度目かの確認をしてからスカートに脚を通し、腰のホックを留め、ファスナーを引き上げれば着替は完了だ。
母親に挨拶しながら靴を履き、玄関のドアを開けるとジットリと湿っぽい空気が身体を包む。
歩きながらも普段と違う自分の服装が気になって仕方がない。
違うといってもキャミソールの下にスポブラを着けているだけなのだが、カナエにしてみればブラジャーを着けることは、乳房の膨らみを意識していることと同義である。
気恥ずかしさを感じつつ、昨日のように乳首が透けてしまう羽目に陥るくらいなら遥かにマシだと自分自身に言い聞かせながら、歩き続けるカナエの視野に校門、そして校門の前に立つ人影が映る。
ノゾミだ。
「おはよ!」
「あ、うん・・。おはよう・・。」
「良かった。来てくれて。」
「・・・・・」
並んで昇降口に向かう二人を包む暫しの沈黙。
沈黙を破ったのはノゾミであった。
「来てくれなかったら、これ、その辺に置いておこうと思ってたんだ。」
「?」
屈託のない笑顔で話しながら、ノゾミはA4サイズの茶封筒を差し出した。
訝しげな表情を浮かべ、無意識のうちに封筒を受け取ったカナエ。
薄笑いを浮かべたノゾミは封筒の中身を見るように促す。
昇降口で靴を上履きに履き替えたカナエは、ノゾミに急かされるままに封筒の口を開く。
封筒の中にはコピー用紙が何枚か入っており、その全てに何かが印刷されている。
「!」
印刷されている何か、それは全裸で床に横たわる少女の画像であった。
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