とんでもないことになってしまった。
既にしてしまった失敗もさることながら、明日以降、自分は一体どうなってしまうのかという不安。
悄然としながら家路を辿るカナエは、ふと、ある違和感に気付く。
行き交う通行人のうち何人かが、カナエとスレ違う際、あからさまに視線を注いでくるのだ。
そのうちの何人かに至っては、スレ違いざまにカナエに声を掛けようとする者すらいたくらいであった。
薄曇りの空には夕方が近づいていたが、蒸し暑い空気が緩み始める気配はない。
つぅっ
今日、何度目かに背中に汗が流れる。
蒸し暑さの中を歩いているのだから、それ自体は特別なことではない。
だが何かが違う。
家までの距離が半分を過ぎた頃、カナエの脇腹のあたりで汗が流れた。
カナエの頭の中に不意に閃いたのはキャミソールを着ていないという事実。
つまりインナーを着けずに直接、ブラウスを着ている為、普段だったらインナーに吸収される筈の汗が流れているのだ。
そう思った瞬間、カナエは手に提げていたバッグを胸の前で抱えていた。
顔から血の気が引くと同時に全身から汗が吹き出す。
暑さのせいではなかった。
ブラウスが汗を吸って素肌に貼り付いているとしたら?
それ以上は考えることすら出来なかった。
徐々に足を速めるカナエは、いつの間にか走り出していた。
汗だくになって家に着いたカナエは、荒い呼吸を整えながら鍵を取り出す。
もどかしい思いをしつつも、玄関の内鍵を掛けるとその場にバッグを置いてバスルームに向かうカナエ。
脱衣所の壁に設置されている大きめの鏡の前に立つと、そこには制服姿の少女の姿が映っている。
あ・・
鏡の中の少女は声も出さずにカナエと同じように口を開いた。
汗で湿ったブラウスはペッタリと肌に貼り付き、光の加減によっては素肌が、臍が、乳首が薄っすらと浮き上がっていた。
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