『してたでしょ?』
ノゾミの『してた』に対して『何をしていた』と言うのか、と逆に問い掛けることは出来たかもしれない。
だが、ノゾミが口にした『してた』には、誤魔化しきれない行為を示す響きが込められていた。
黙り込むカナエ。
だが、その沈黙はノゾミの質問に対する肯定に他ならない。
「昼休みさ、あたし隣のトイレにいたんだよね。」
ノゾミは言葉を刻み、カナエの反応を伺いながら続ける。
隣の個室にいたノゾミの存在に気付かないまま、自慰を始めてしまったカナエ。
ノゾミは隣から漏れ聞こえてくる荒い呼吸と甘い呻き声、そして時々混ざる喘ぎに、声の主が自慰に耽っているという確信を持ったという。
「普通、誰だろうって思うじゃん?」
そっと便座の上に立ち、息を殺しながら隣の個室を覗き込めば、そこには夢中で自慰に耽るカナエの姿があったというのだ。
「びっくりしちゃった。」
地味で大人しく、真面目な優等生、しかも未成熟な身体つきからは性の香りは感じられないカナエ。
そんな少女が昼休みに学校のトイレで自慰に耽っているのだ。
ノゾミが驚くのも無理はない。
「お願い、内緒にして・・。」
このことが他の誰かに知られたら、カナエの学校生活が破綻することは確実である。
何と引き換えにしても秘密は守らなければならない。
「・・何でも・・言うこと聞くから・・。」
振り絞るようなカナエの呟きに対して、ノゾミの反応は冷酷であった。
カナエに近づいたノゾミは、焦らすようにゆっくりとカナエの胸に手を伸ばす。
ノゾミの指先が体操服越しに浮き上がったカナエの乳首に触れた瞬間、反射的にカナエはノゾミの手を払う。
「何でも言うこと聞くんじゃなかったっけ?」
「で、でも・・そんな・・」
意地の悪い問い掛けに、それでもカナエが反論しようとした矢先、ノゾミはスカートのポケットからスマホを取り出し、操作をするとカナエの言葉を遮るように液晶画面を突きつけた。
「それにカナエは、あたしの言うことを聞くしかないんだよ。」
突きつけられた液晶画面。
そこには下半身を剥き出しにした少女が便座に座っている画像が、俯瞰する構図で映し出されている。
息を飲むカナエに構わず更にスマホを操作すると、ノゾミは再びカナエに液晶の画面を差し出した。
「!」
絶句するカナエ。
「動画も撮ってあるんだよね。」
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