マリア 《廻》
その年の仕事納めを終え、男は今年もまた最後に いい女を抱こうと車を流していたが、見つからずに諦めてソープにするかと歩き始めていた。
女の子が公衆トイレで化粧を済ませ、電話ボックスへと歩き始めた。
「チッ」
表通りを歩いていたが、また何故か膝が痛みだした。
意気がってバイクを乗り回していた頃、突然目の前に子供が飛び出し 避けようとして転倒してしまった時に痛めてしまった。
少し離れたソープまで歩いて行こうと思っていたが、膝の痛みが酷く立ち止まり膝を擦る。
ちょうど目の前に
【テレクラ】
の看板があり、入った事もなければ興味もなかったが、膝の痛みがとれるまでの時間潰し程度にと思い入ってみた。
電話はなるが、全く繋がらずにイライラとして受話器を投げつけ、店に入って3本目の煙草に火を点けた。
煙を吐き出してから受話器を広い、一度置いてから電話も鳴っていないのに受話器を取り、わざとらしく
「もしもーし」
と言ってから電話を切ろうとした時 受話器から
「はいは~い」
と聴こえてきて慌てて受話器を耳に当て、もう一度
「もしもし?」
と言ってみた。
すると受話器から若い女の声で
「そこは〇店か?」
と聞いてきて、俺が部屋を見回し ここの店名を見つけ答えると やや間を置いてから、自分はいくつで見た目はどうで、ホテル代がどうとか 全部でいくらだとかを矢継ぎ早に言い最後に近くの噴水に居てる 等と言っていた。
俺は内容は聞かずに ただ相手の声だけを、じっと聞いていた。
「…そっちの服装は?」
と言い、もう一度相手の声をよく聞こうと耳をすましていると受話器からの声が言った。
「噴水のとこ来たら、うちが見つけたるわぁ!早よ来ぃやぁ」
噴水のとこに行くと、噴水よりも先に女の子の姿が目に入ってきた。
女の子は携帯で電話をしながら近付いてきて、俺の前で電話を切り言った。
「久しぶりやなぁ
…オッチャン」
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