「わぁっー!乱暴な運転やなぁ」
アパートに着くまで文句を言い
部屋に入れると
「なんやぁ…汚いとこやなぁ」
と部屋を見回し、食事を作ってやると
「これだけかぁ…質素な食事やなぁ…」
と卵かけご飯とメザシ1匹とトマト半分を文句を言いながら全部食べ、部屋にあったマンガを読み出した。
変な化粧を落とし無邪気にマンガを読んで笑う まりあの横顔は、中学生になったばかりの子供そのままだったのに、何故か魅力的に見えた。
「子供だよな…」
まりあはマンガから目を離さずに言う。
「オッチャン知らんのか?うち、今日 処女捨てたんやぁ。立派な大人の女やぁ。」
マンガのページをめくり続ける。
「うちの処女もらった男は幸せやぁ。なんせ うちの処女やからなぁ。うちは誰でもよかったんやけどなぁ」
またページをめくり
「うちの事 忘れられへんように なるやろなぁ……こんな ええ女の処女もうて。…でも うちは忘れるでぇ、誰でも良かったんやからなぁ」
またページをめくったと思ったら、じっと見つめていた俺をみて言った。
「でも、うちの最初の男やぁ。記念に一つだけ、願い叶えたるわぁ。オッチャンが困った時、1度だけ 手を差し伸べたるわぁ。なんせ うちはマリア様やからなぁ」
まりあはニィーと笑っている。
「もう寝るぞ」
と言って電気を消すと
「あー!なんや、なんや。マンガまだ途中やでぇ。ほんまにデリカシーないオッチャンやなぁ」
とマンガを放り投げゴロンと横になった。
まりあの話は聞き流していた。
本当にマリア様が手を差し伸べてくれるとは思ってもみなかった。
ブツブツ独り言のように文句を言って横になっている まりあの手を取り布団の中へ引き寄せた。
「なんやぁ…また するんかぁ?うち もう眠たいわぁ」
と言いながらも素直に服を脱がされ未成熟な裸を晒していった。
この日、ぼろアパートの部屋にある万年床の薄い布団の上で、もう一度 まりあを抱いた。
まりあの体は、とても温かく薄い布団の中で抱きしめて寝てると、心地よく落ち着いた気分になれた。
そして…何故か
遠い昔から、ずっと こうやって抱きしめ合っていたような気がした。
腕の中では まりあが
「おかわりやぁ」
と寝言を言っている。
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