道の端に落ち葉が溜まりだしてきた。
それを蹴散らすように足を引きずり店に向かう。
店ではパートのオバチャンと痩せた男が開店準備を終えている。
店長はまだ来ていない。最近 来るのが遅くなってきていた。
たいして忙しくもなかった昼のピークが過ぎると、店長が 夜には戻ると言って出ていった。昔も何かの集まりや他の店を覗きに行ったりしていたが、最近はどうも違うようだ。
時間になり、パートのオバチャンが帰り、痩せた男も着替えて出てきた。
洗い場で水を出したまま、手を止めてる俺の顔を覗き込み
「おサボりですか?」
と言った後、笑って
「お先!」
と帰って行く。
俺は腹に手をやった。
腹が、痛い。
まりあと最初に会った時、まりあも腹を殴られ座り込んだ。
痛かったろうに、男を睨んでいた…
自動扉が開き、客が入って来たので対応して注文された物を作り 出した後、ゆっくり時間を掛けて明日の仕込みの分をやってると、客が帰り 店内は静かになる。その後、二組 来たあと、夜のピーク前に店長が戻って来るまでは誰も来ず静かなもんだった。
店長は戻って来て、店内を見回し 誰も居ないと分かると
「まぁ、休憩しましょう」
と休憩室でチョコレートをくれた。
パチンコの景品のようなチョコレートを。
チョコや飴やら、どれだけの投資の見返りか解らないものを たまに俺にくれる。
夜のピークまで店の傷んでる箇所をなおす。
随分と傷んできたもんだ。
アパートへ帰ると廊下でアル中が何やら叫んでいた。何があったか知らんが俺に不満をぶちまけてくる。
「俺も やろうと思えば ウッ 出来るんだぞ!」
「ウィ~お前は何様だ!…ヒック」
「俺をバカにすんなぁ~っ!」
アル中は廊下に倒れイビキをかきだし寝てしまった。
「まりあ、ただいま」
声を掛け、写真立てに口づけた。少し汚れていたので服の袖で拭いてやり綺麗にしてやった。
風呂に入り、歯を磨きながら鏡の顔を見る。顔色が悪い。どす黒く見える自分の顔を見ながら、すでに亡くなった親父を思い出した。親父の顔も、どす黒かった。
布団に入る前に、もう一度 まりあのプリクラに口づけた。
「まりあ……もうすぐ、会える気がするよ…」
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