仕事して帰って寝る。
ずっとそうしてきて、これからも ずっとそうしていく。
年が明け春が来た。
バイトの学生達の一部が辞め、また新しいバイトを雇う。
「明日この二人が来ますので、教えてあげて下さい」
店長から渡された履歴書にチラリと目をやり、帰り支度を始めてアパートへ帰る。
次の日の日曜日は開店から忙しく、新しいバイトに構っていられなかった。
とりあえずメニューを覚えてくれと隅でメニュー表を見させていた。
「悪いな、手が空けば教えてやりてぇんだが…」また客が来て対応に追われる。
高校生になったばかりの女の子二人は、メニュー表を眺めてるしか出来ずに帰って行った。
女の子の一人は、しばらくして辞めていったが、もう一人のアベと言う子は、その後も続け おとなしい性格だが、いつも笑顔で愛想が良く皆から アベちゃんと可愛がられた。
「主任、これはどこにしまったらいいですか?」
アベちゃんは、よく質問をしてくる。
真面目で仕事も一生懸命に頑張り、教える事は すぐになくなり、一人である程度は出来るようになった。
それでもアベちゃんは、よく俺に質問してくる。
仕事の事ばかりで、無駄話はせずに帰って行く。
夏のある日、その日 俺は夕方までの仕事だったが機械のトラブルで終わるのが遅くなり、バタバタとしていた店内で残って手伝っていたアベちゃんを夜遅くなったので車で送ってやる事になった。
最初 助手席でおとなしかったアベちゃんは、一度話し出すと止まらなくなり よく喋りだし、よく笑い そして以外と強引だった。
「主任、せっかくだからドライブしましょう」
「早く帰らないと、親が心配してるだろう?」
「…わかりました」
そう言うとアベちゃんは携帯で家に電話すると
「もう少し遅くなるから」
とだけ言って切ると俺の方に向いて
「これで大丈夫です」
と笑い また色々と喋りだした。
適当に車を走らせてる間、アベちゃんはよく喋り よく質問してくる。
「主任はどこ出身なんですか?」
「前は何してたんですか?」
「好きな物は?」「趣味は?」「何座?」「血液型は?」
いくつも質問され最後にアドレスと番号を聞かれ、携帯に登録すると
「またドライブして下さいね」
と帰って行った。
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