思わぬ小旅行の間、何度もまりあを抱いた。
「もう、学校始まるわぁ…あとちょっとで卒業やぁ。卒業したら、うちには夢があんのやぁ」
帰りの車の中で、そう言ってが、夢は教えてくれなかった。
いつもの駅まで帰り、店に入り食事をした。
ガラの悪そうなヤツが、俺達に視線を向け、店を出ていった。
食事を済ませ、駅まで歩いて行く途中、新年を祝ってるような幸せそうな人々がすれ違う先に、そこに似合わない連中が、俺とまりあを睨みながら近付いてくるのが見えた。
まりあは俺と手を繋ぎ何やら楽しそうに話している。
まりあの手を強く握り、後ろへ振り向き来た道を戻ろうとした。
まりあはつまづく様に後について来る。
後ろにも大柄な男が俺を睨みながら近付いて来ていた。
角を曲がり路地裏へと入り足早に路地を抜けようと急いだ。
「なんやぁ?なんやぁ?」
まりあも引きずられる様について来る。
路地の出口が近くなった時、出口を塞ぐ様に黒い車が止まり、中から男達がゆっくりと降りてきた。最後にチンケな男も降りてきたが、俺が殴った時よりも更に酷い顔になっている。
あまりお世話になりたくないが、警察に電話しようとポケットから携帯を取りだし番号を押し始めた。
まりあは靴についた泥を拭っている。
三桁の番号を押す間もなく、後方から角材が俺の手を払い 携帯が前に飛ばされた。
飛ばされた携帯だけを見てまりあが
「なんやぁ…携帯投げたらアカンやんかぁ」
と まるでスローモーションの様に取りに行くのが見えた。
が、すぐに俺は何発も飛んでくる大柄な男の拳から急所を守るのに精一杯になり、まりあを見れなくなった。
携帯を拾い上げた まりあの声が聞こえてくる。
「何しとんやっ!やめんかぁっ!オッチャンに何しとんやぁっっ!!」
まりあの小さな体が大柄な男に体当たりするのが見えたが、片手で簡単に弾き飛ばされた。
それでも起き上がり また
「やめんかっ!」
と突っ込んで来るが、また弾き飛ばされ、また起き上がり、こちらへ突っ込んで来ようとしたが
「なんやお前ら!放せ!放せ!放さんかぁー!オッチャン!オッチャーーン!」
と男達に掴まれ まりあの声が遠ざかっていった。
一瞬 目がまりあを追いかけた。その時ヤツの拳がまともに顔面に入った。
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