俺はトイレに行き部屋に戻る時に居間の襖を開け中を確認した。オレンジの電球が点いたままで、布団に由美の姿がなかった。隅を見るとうずくまったままの由美が居た。由美は俺を見上げた。「布団に入って眠りな」フルフルと頭を振った。「何で?疲れるだろ」と言ったが動かない。「ほらっ」と言って布団を捲り促したが動かない。「何で?」と聞くと少しの沈黙の後由美が言った。「…布団カビ臭い」俺は呆気にとられ思わず吹き出した。ここ暫く誰も来てなかったから干してなかった。「じゃぁ俺のベッドで寝るか?」と聞くと頷いた。由美が布団に入った。俺が居間に行こうとすると、由美は俺の服を掴み「一緒に寝て…」と小さい声で言った。意味がわからなかったが俺もベッドに入り背中を向け寝たら、由美がギュッとくっ付いてきた。そのまま動かないでいると小さく泣いている声が聞こえた。その夜は由美の体温を背中に感じながらそのまま眠りについた。朝、目が覚めると目の前に見知らぬ顔があったので驚いたが由美だった。その顔はスヤスヤと寝息を起てていた。マジマジと見ると、美人な顔立ちの中に幼さが残っていた。(この子は美人になるな)と俺は思った。
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