部屋に入り シャワーを浴びた
いつもは軽く流す程度だが この時は 髪も体も腕も足も 至るところを力を込め 必要以上に念入りに洗った
こんな事で少女の汚れは落ちないのだろうが 俺は何度も何度も タオルを擦り付け 赤く腫れてきても なお タオルを擦り付けた
シャワーを頭から浴びながら 全てを忘れようと努めたが ますます少女の姿が頭から離れなくなってきた
シャワーを止め しばらく考えるでもなく目を閉じていると 浴槽から湯が溢れだしていた
いつもシャワーだけで湯に浸かったこともないのに 知らないうちに湯を溜めていた
少女が湯に浸かる姿が浮かんだ
フッ と
自分を嘲笑う
俺には あの少女を助ける事は出来ない
悲しい目を しすぎている…
俺は服を着てドアを開け 階段へ向かった
せめて 風呂に入らせてやろう
階段で少女の姿を探すが そこに少女の姿はなかった
階段の下や周りを探しても どこにも 少女の姿を見つける事はできなかった
俺は走って空き地へと向かい 突き当たりの奥を見た
そこに少女は膝を抱えて顔だけ こちらに向けて無表情に座っていた
「風呂ちゃんとはいってるか?」
「……」
「風呂ぐらい いれてやるよ」
「……」
少女は黙って 俺の後ろをついてきた
この前と違って 俺のすぐ後ろを
浴室で少女の上の服を脱がし洗濯機の中へいれた
少女は上半身裸で立っている
サイズの合ってないブラをしてなかった
「ブラはどうした?」
「なかった」
「…そうか…」
「探したけど なかった」
もう何処かにいってしまったのだろう
その代わりに前回と違い少女の身体はアザだらけになっていた
ズボンを脱がし 祈るような気持ちでポケットに手をいれた
ポケットからハンカチで出てきた
「良かったな」
心の中でそう呟き 洗濯機へ入れた
ズボンも入れようとした時に 別のポケットから何かが コン と音をたて落ちた
少女が慌て拾い 小さな胸の前で大事そうに手で握りしめた
意外だったが 少女は携帯を握りしめていた
なんとなくホッとした
ちゃんと連絡する術があったんだなと…
しかし その携帯は そんなものでは無かった
実におぞましい物だった
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