随分と歩いた
空き地は何もないが綺麗になっていた
駅は変わらず人が行き交っていた
国道も俺や少女に 興味も無く 車が走っていた
警察署の建物が俺や少女に気づきもせず建っていた
警察署の建物が見えると少女は俺に隠れるようにして歩き出した
優しいんだな…
おとなしく しないと俺が警察の人に怒られるもんな…
そうやって 親も友達も この街もこの社会もかばって 自分を殺してきたんだろ…
それに疲れて 心を閉ざしちゃったんだな…
優しいな…
でも ダメなんだよ…
それじゃ…
俺は少女の手首を 強く握り直し グイと引っ張り
警察署の中へ入って行った
少女の踏ん張りが強くなり 俺の手を引っ張る
帰ろ~!帰ろ~!
帰りたい!
少女は暴れだした
帰りたい!帰りたい!あそこがいい!隅っこでいいから!ねぇ帰ろぉー!
振り向いてやれなかった 更に強く引いて中へ入っていく
本が見たい! 絵を描きたい! テレビ見たい!
俺と暴れる少女を見て警官達が走って近づいてくる
俺は足を止めて 振り向かずに言った
「着いたよ」
少女は狂ったように暴れだした 俺の腕を振り払おうとした
腕を叩き 胸を叩き 足を蹴り 腕に噛みついてきた
警官が俺を取り押さえ 婦人警官が少女を優しく引き離す
この人達が ちゃんと守ってくれるよ…
抱きしめて くれるよ…
笑えるように してくれるよ…
嫌だぁー! 嫌だぁー! 一緒に居たい!離れたくない!
そう言う少女を婦人警官が しっかりと抱きかかえるのを見て 少女の手首を離した
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