俺は少女を掴み 叩き 投げ飛ばしながら言った
「なんでお前はそうなんだ!なんでここに居るんだ!なんで消さないんだよ!メールも画像もなんで消さないんだよ!なんで感情だけ消すんだよっ!!」
少女は何度も俺に 抱きつこうと…抱きしめられようと 近づき 何度も頷いてもらおうと 見上げてきたが 俺はその度に 突き飛ばし 叩き 蹴った
やがて少女は 無表情にされるがままに 遠くを見つめて 俺の怒りが収まるまで 叩かれ 蹴られ 転がされ続けた
振り上げた腕が 電球に当たり 留められていたハンカチが ユラユラと揺れ 少女の上に落ち 悲しい歌が聞こえてきた
突然 涙が溢れて 怒りは消え 胸を締め付ける苦しい気持ちに変わり 苦しみから逃れようと 少女に手を伸ばしたが 少女は部屋の隅に行き 膝を抱えて頭を垂れた
その夜 俺は朝まで壁を見つめていた
なのに夢を見ていた
星ひとつ無い 真っ暗な闇で膝を抱え 上も下もわからず クルクルと回っていた
自分の体も見えず 本当に自分がそこに存在しているのか確認も出来ない 闇の中で 宇宙飛行士のように プカプカと回っていた
そこに少女はいなかった
すごいなぁ~ …
よく感情を消したなぁ
俺は出来なかったよ
全てを消せなかったよ
ごめんな…
俺には無理だよ…
助けてあげれないよ…
闇から救ってあげたかったけど 出来ないよ…
この闇にも居ないんだろ…
もっと違う場所に行ってしまってるんだな……
少女の心は闇だと思ってたが 違った
少女の心は 黒という たった一つの色もない 『無』の色 だった
そんな色 知らないよ…
見た事ないよ…
想像もできないよ…
だから助けてあげれないんだ…ごめんな……
待ってるのにな…
いつか友達が 一緒に遊ぼっ て言ってきてくれるのを…
着信拒否してたら わからないもんな…
その時に 友達登録 消してたら悪いもんな…
携帯持っとかないと 連絡してもらえないもんな…
自分が消えちゃうもんな…
生まれてきた証拠が無くなっちゃうもんな…
自分がどこから来たのか わからなくなるもんな…
たった一枚の家族の写真 消しちゃうと……
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