少女と弁当を食べていた
食べ終わると 少女は立ち上がり
「ウンチ!」
と言ってトイレに行った
少女の携帯を取りだし 僅かな望みを託して 電源をいれた
誰か…誰かが探しているかも知れない
心配しているかも知れない
メールが届くのを待った
待った…
いつまでも メールは届いて来なかった
少女の携帯から自分の携帯に電話を掛けてみた
ツー ツー ツー
少女の携帯の番号を探し 自分の携帯から掛けてみた
《現在 この電話番号は使われて おりま… 》
少女が帰るはずの場所へ 繋がっていた 細い線が切れてしまっていた
切られてしまっていた
全身の血がザワつき始めたが 震える呼吸を整えながら 念じた
何も…考えるな…
感情を…捨てろ…
何かを探した なんでもいい 安心出来るものを
ほらっ と少女に見せて みんな心配してるぞ と言えるものを…
メールの着信履歴は あれ以来 なかった
発信履歴は随分前のしかなかった
電話の着信も発信も随分前でとまっている
アドレスには ちゃんと
[お母さん] [自宅]
と登録されているのに その番号の着信履歴は 数ヶ月も前だった
あんなメールを送ってくるのに 友達登録をしていた
保存されている画像を見た
全身の血がグツグツと煮え出したが 俺は念じた
感情を捨てろ…
感情を捨てろ…
無表情になれ…
画像にはメールより酷いものが いくつもあった
少女のものらしき 上履きが写っているが
便器の中に捨てられていた
学校の机が写っている
机の上には 人型に切られた紙が 胸のところに ゴミ と書かれ 無数の虫の死骸と一緒に置かれていた
食べ残したパンや紙くず 汚れた体操着が詰め込まれた 靴箱が写っていた
ウサギ小屋に閉じ込められた少女
頭から水を被った少女
可愛らしい筆箱や鉛筆 ノートがゴミ捨て場に散乱している それを集める少女
感情を捨てろ!
無表情になれ!
俺は更に探した
何か見せてくれと
少女を笑顔で見送ってやれるものを
不意に画面が明るくなった
可愛いキャラクターや動物 花やアニメが出てきた
ほらっ あるじゃないか
少女が笑っていた頃のものが……
けど その先に……
ごめんな…
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