少女は動物の絵をいっぱい書いている
上手に書けていたが いくつか変な動物もいた
試しに俺も書いてみたが 少女のものより変な動物になった
少女がトイレに立った時に俺は部屋の隅に行き カバンを開け携帯を探した
中々見つからなかったが バックの中の一番下に見つけて 取りだし 携帯を開いた
その時少女が戻り 部屋に入ったところで立ち止まり 俺を睨んだ
なんとも言えない表情で俺を睨んでいた
怒っているような 恐がっているような 悲しいような…
なんとも言えない表情で俺を睨んでいた
携帯は電源が入っていなかったので画面がずっと暗いままだった
少女は相変わらず俺を睨んでいる
電源のボタンを押すが 電源が入る事なく ずっと画面が暗いままだった
バッテリーが切れているようだったので携帯を閉じた
少女は座り さっきと同じように絵を書き出した
俺は引き出しの中を探し どのタイプでもいける充電器を取りだし繋いだ
充電ランプが赤く灯った
その時 俺の後ろから悲鳴にも似た叫び声をあげ おぞましい大群が押し寄せてくる感覚を覚え 思わず後ろを振り向いたが
いつもの俺の部屋に少女がさっきと変わらず絵を書いているだけだった
携帯を開けて 電源を入れようとした時 また 叫び声が聞こえ 後ろを見たが 少女は夢中で絵を書いている
俺は電源を入れないまま携帯を閉じて床に置き 少女のとこへ戻り絵を覗き込んだ
種類も大きさも地域も関係なく色んな動物が楽しそうに輪になって遊んでいる
どの動物も口が笑っていた
振り向いたら大袈裟に誉めて頭を撫でてやろうと思いながら眺めてたが 少女が最後に書いた動物を見たら 少女が振り向いても 頷いてやる事が出来なくなった
色んな動物が笑いながら輪になって 楽しそうに遊んでいたが 何故か猫だけが 紙の端で膝を抱えていた
目も鼻も口も無く悲しげに…
少女はずっと俺の顔を見つめていた
俺は立ち上がり もう一度引き出しの中を探し セロテープを持って座った
すぐに少女は俺の膝に座り見つめてきた
紙の端をちぎり 猫の顔に大きく笑った口を書き 輪の真ん中にセロテープでとめる
猫も楽しそうになった
それを見て少女が振り向き俺を見てきたので 俺は大袈裟に誉めてやった
少女は俺の腕の中で 動物達の絵をかざし いつまでも眺めていた
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