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どうすればいいのかわからないなりに、とりあえず両手を動かしてみた。上に下に外側に内側に、初めて触る女子の身体を傷つけないように、指先にまで気を配る。
「とっても上手だね……。気持ちいい……」
しぜんに語尾が緩くなる遥香。息を吸って、吐いて、もう一度吸って、また吐いて、胸の先端がだんだん熱くなってくるのを感じる。
思わず眉間に皺を寄せて、下唇を噛んだ。
「ごめんなさい。痛かった?」
小さな手がブラジャーから離れた。そして心配そうな少年の顔がこちらを窺っている。
私は、なんて最低なことをしているのだろう──。遥香の良心が一瞬だけ揺らいだ瞬間だった。
しかし一度火が着いた遥香の身体はもう後戻りできないほどに発熱して、
「痛くないから……、もっと強くして……」
と愛撫の催促をしてしまう始末。
そして幼い手の動きがふたたび胸をタッチすると、自らを滅ぼそうとするほどの性感が湧いてくるのだった。カップの中の乳首がグニャグニャと転がって、どんどん固くなっていくのがわかる。
「う……うん……」
とうとう吐息まで出始める。
「やっぱり痛い?」
「違うの……。女の人は気持ちよくなると……、誰でもこんなふうになっちゃうんだよ……。はあ……ふっ……」
「そうなんだ。なんか不思議」
日常の生活音が微かに聞こえる中で、こんな異常なことをしている自分を客観視しては、萌えるシチュエーションに満足する遥香。
自分の手で揉むのとは違う感触に責められていると、ただの遊びのつもりが、スカートの中の熱気もいよいよ本気になってくる。
下も触って欲しい──。そんな淫らな願望が女の粘液を分泌させて、ショーツの裏面に痕跡を残してひろがっていく。
もはや腰の支えも頼りなく、膝立ちしているのも何だか辛い。彼女は上半身を後ろに傾けて、両手とお尻を床にあずけた。
そうすると両脚は健太郎に向かって伸びて、もう少しでスカートの奥の下着が見えるかどうかという意地悪な環境をつくってやる。
少年の視線をこちらに引きつけてから、
「もっとエッチなこと、してみる?」
と不謹慎な言葉で誘惑してみた。
「してもいいの?」
「いっぱいして欲しいな」
「うん、わかった」
健太郎は遥香のスカートの裾を掴むと、緊張しながら少しずつ捲っていった。
ベージュのストッキングに包まれた太ももが徐々に露出され、どこまで行っても脚がつづいていると思った途端、いままで見たこともない光景が目に飛び込んできた。ストッキングから透けて見える白いパンツ、そこはちょっぴり膨らんで、すごく濡れているように見える。
「ひょっとして、おしっこしちゃったの?」
健太郎の率直な疑問に、首を横に振る遥香。
「じゃあ、女の人なのに、どうしてここが膨らんでるの?」
「どうしてだろうね。触って確かめてみたらどうかな?」
そう言うと遥香は親切に両脚をひらいて、健太郎が触りやすいようにポジションを取り直す。
目の前の少年が人差し指を立てている。それがこちらを指差して、下腹部の局所に近づいてくる。なんて可愛い指だろう。女の恥ずかしい垢も知らない指が、すぐそこに届いて、私の純潔を──。
「んんっ……」
下着越しの女性器の中心に、フニュっと指が触れた瞬間だった。遥香の全身に電流が流れて、脳が覚めるような快感が、婦人系の器官すべてを震撼させていくみたいだ。
ストッキングとショーツがクッションの役割を果たしているけれど、そこを押しているのは間違いなく他人の指。で、好奇心旺盛な男子の指使いは、少しずつ少しずつ大胆になっていく。
「すっげえ」
「ふっ……。あったかいでしょ?」
「うん。すげえ」
「うう……んん……。ぐちょぐちょしてる?」
「なんかすごい」
会話にはなっていないけど、会話なんてなくてもいい。彼の指が割れ目のすじを縦に撫でてくる。
「もうちょっと上も触ってみて?」
遥香の発情リップが示した場所へ、幼い指がソフトタッチする。
ぷりゅっ。
「やん……」
とても甘い刺激がクリトリスにつたわってくる。
「ちゃんと探せたんだね……うんん……ふん……。女の子はそこが気持ちいいんだよ……あんっ……くっうん……」
「お姉さん、気持ち良さそう」
「きみって、ほんと、上手いんだから……」
むやみに挿入されるより、こうやって入り口周辺をいたずらに焦らされるほうが、絶頂したときの胎内からはじける感覚がすごくなることを彼女は知っている。
やや強めに押されると、ショーツの生地が膣内に入り込んで、そこにぽっかりと穴が開いて半透明になる。
「もう我慢できない。お願い、ストッキングを破いて?」
涙声で訴える遥香の普通じゃない様子を見て、健太郎は戸惑いながらも力強くストッキングを裂いた。
その下からあらわれた純白のパンツは汁気を吸って温かく、なんとも言えない動物の匂いがした。
「あとどれくらい触ったらいいの?」
「私がイクまで……指でかき混ぜて……」
「どこに行くの?どこをかき混ぜるの?」
そっか、まだ何もわからないよね──。
「じゃあ、目を閉じてて」
そう言われて目をつぶる健太郎の手を遥香が掴んで、真ん中の指三本が揃うようにしっかり束ね、粘つくショーツを横にずらすと見えるその大切な部分に……挿入した。
ぐちゅん。
「あひっ!」
届かなかった部分にようやく手が届いたような鋭い快感が、ふやけた膣を溶かしてうっとりさせていく。
「これなあに?」
いきなり自分の指が得体の知れない生き物に食べられたんだと錯覚して、少年の瞼がうっすらと開きそうになる。
「お願い、見ないで……。ボッチくんがいま触っているのは……、お姉さんの、あそこの中だよ……」
それを聞いて、健太郎はすごく大人になった気分だった。
「ぬるぬるしてて、びちょびちょしてるね」
「はあ……はあ……あっ。もう手加減しなくていいから、かき混ぜて……」
見たい気持ちを我慢しながら、健太郎は自慢の運動神経にまかせて手首を回転させたりした。
穴は相当深い。変な水も溜まっている。クチュクチュという音だけを頼りに、この不可解な行為をひたすら繰り返す。
「ふうううん……ううん……、気持ちいいよお……。あああ……ああ……、イクううう……」
遥香は弱々しく爪を噛んだり、乳房を下着ごと揉み上げたり、トリップ寸前の意識の中で何度も喘ぐ。おそらく少量の失禁もしているだろうし、おなじくらい潮も吹いているはずだった。
そして、そのときを迎える。熱い『痺れ』が胃を通り過ぎ、子宮から膀胱にゆっくり下って、いままでの未練を洗い流すように膣を満たし、クリトリスで絶頂した。
暗幕の向こうから射し込む光、女しか逝けない世界で遥香はひとり、痙攣する身体を放置していた。
*
つづく
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