――第48話――
(キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァッッッッ・・・)
トリヤマが、今や遅しと合図を待ち構えていたところに、突如聞こえてきた、まさしく絹を裂くような女の悲鳴。
な、なんだぁ?・・・。
ウインドウを閉め切った車内の中まで、はっきりと聞こえた。
アパートまでは、およそ100mの距離がある。
何事かと目を凝らしていると、そのうち大男がふたり、玄関から転がり出てきた。
まさしく、すっ転びながら飛び出してきた。
な、なにやってんだ、あいつ等・・・。
「トリ!!出せっ!!」
驚いてる暇はなかった。
異常を察した和磨の反応は素早い。
「へいっ!」
素早くシフトレンジをドライブに入れた。
一気にアクセルを踏み込んだ。
ものすごい白煙を上げて、後輪が空転する。
バックシートに背中がめり込む。
黒い車体が、どう猛な猟犬のごとく走り出す。
トリヤマは、ハンドルを握りながら、猛然とベンツをアパートへ突っ込ませていった。
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