恵美は俯いたまま泣いていた。
この歳になってお漏らしをしてしまった恥ずかしさ、さらに自分のおしっこ
の入ったペットボトルを運転手が持っているのだ。
顔を上げられる訳がなかった。
すべてが夢であって欲しいと思いながら、放心状態で涙だけが流れていた。
「北岡恵美ちゃん」
名前が呼ばれて恵美の心は現実に引き戻された。
「あんたはこの先に住んでる北岡恵美ちゃんだろ?」
恵美は恐る恐る顔を上げた。
運転手と目が合う。冷たい目をしていた。
「名前を呼ばれたら返事位したらどうだ。北岡恵美だな?」
「は・・・はい・・・」
恵美は動揺した。
バスの運転手に名前まで知られてるとは思ってなかったのだ。
「あんたは成績優秀だから越境入学で街の学校に通ってるんだったな」
恵美は目を伏せて何も言えなかった。
「優等生のお嬢ちゃんは、こんなものに小便をするように親に教えてもらっ
てたのか?」
手にしたペットボトルをチャポチャポと振ってみせる。
「ち、違います・・・!」
「何が違うんだ。座席も床もびしょ濡れじゃないか。誰が掃除すると思って
んだ?」
「ご・・・ごめんなさい・・・」
「謝ってもらったって仕方ないな。会社からはバスが汚れたら自己責任で直
せと言われてるんだ。あんたが小便で汚したシートを張り替えるのに、俺は
自腹を切らなきゃならないんだ」
運転手は伏せ目がちの恵美のアゴを持ち上げ無理やり目を合わせた。
「親を呼んで弁償してもらわなきゃならないな」
親を呼ぶ。
恵美を追い詰めるには十分すぎる言葉だった。
優等生である恵美には親を呼ばれることが一大事に思えた。
しかもお漏らしでである。
世間は狭いものだ。近所にも先生にも同級生に知られてしまうかもしれな
い。
恵美の目の前が真っ暗になった。
親を呼ばれたら終わりだ。
頭の中でそれだけがはっきりと分かった。
恵美は体と声を震わせながら
「わ・・・私が後始末しますから許してください・・・親にだけは・・・」
「あんたに何が出来るんだ?これだけ小便で汚れてるのに、どうにもならん
だろ」
「出来ます!やらせてください・・・!何でもしますから・・・!」
「口だけならなんとでも言えるからな」
「お願いします!やらせてください!」
恵美は何度も頭を下げて頼み込んだ。
運転手はしばらくの沈黙の後
「わかったよ。あんたがちゃんと出来るなら、親を呼ぶのは勘弁してやる」
「あ、ありがとうございます」
運転手の返事に恵美は少しほっとしていた。
この危機を乗り切れる希望が見えたような気がした。
だが、気づかなかったのだ。
運転手の目が冷たいものから、熱を帯びたいやらしいものに変わっていたこ
とに・・・
(ククク・・・ここまでうまくいくとはなぁ)
中年の運転手は内心ほくそえんでいた。
昨年の4月、初めて恵美を見た瞬間に欲しいと思っていた。
いじめ甲斐のありそうな優等生タイプの美少女だ。
それからというもの、恵美の住所、家族構成、性格などを調べ、機会をうか
がっていたのだが、こんなに早くチャンスが来るとは。
「どうせ事故で後2,3時間は動けないんだ。その間にやってもらおうか。あ
んたも、事故で家に帰るのが遅れるって言った方がいいだろ」
恵美は小さくうなづいた。
そして、意を決したように立ち上がった。
スカートの下、膝の辺りに半脱ぎのハーパンが見えた。情けない格好だ。
すばやくパンツごとハーパンをたくし上げた。
バックの中に手をやり、タオルを探す。
「まて」
運転手が恵美の行動を制した。
「あんたその汚れた格好で掃除するってのかい?」
「た、タオルで拭きますから・・・」
「ダメだな。そんな格好で動き回られちゃあ逆に汚れてしまう」
恵美が答えられずにいると
「スカートを脱いでこっちに渡してもらおうか」
「え・・・」
「小便で汚れたスカートで動かれちゃ迷惑だって言ってるんだ」
「でも・・・」
恵美は困ったように運転手を見た。
「あぁ。分かった。もう掃除しなくていい。明日にでも両親を呼ぶからな」
「ま、待ってください!」
「でも、俺の言うことが聞けないんだろ?」
「・・・脱ぎますから・・・」
「なんだって?」
「スカート脱いで渡しますから・・・」
消えるような小さい声で恵美は言った。
「わかればいいんだよ。さっさとしろ」
恵美はホックに手をかけて外し、ゆっくりとスカートを下ろし始めた。
青いハーフパンツと、そこからのびる細い足があらわになる。
足を動かすたびに、おしっこの水溜りがピシャピシャ音をたてた。
ぐっしょり濡れたスカートは、自分がお漏らししてしまったことを、改めて
認識できる重さだった。
運転手はスカートを受け取りながら
「そのジャージも汚れてるじゃないか。それにこれから掃除するってのに、
上着を着たままじゃ出来んだろ。全部脱ぎなさい」
「そんな・・・!」
「いやならいいんだよ?」
「でも・・・でも・・・」
恵美は懇願するような目で運転手を見たが、自分の願いが無理だと悟った。
「・・・分かりました」
まず、ブレザーを脱ぎ白いブラウスを残す。
ハーパンに手をかけたところで
「当然パンツも汚れてるんだろ。一緒に脱いでもらおうか」
恵美の頭に衝撃が走った。
「そんな!掃除をするだけなのに、話が違います!」
「あぁ。俺はどっちでもいいんだぞ」
恵美の心に諦めの感情が広がっていった。
(もう、早く掃除して認めてもらうしかない・・・)
恵美は絶望感に浸りながらハーパンをパンツごと下ろして渡した。
ブラウスのすそを引っ張って割れ目を隠そうとしているが、丈が短く隠し切
れない。
脱いだもののモジモジ立ち尽くすだけで何も出来ないでいた。
運転手が上から下まで視線を走らせる。
見られている。恵美の体は上気し、どんどん桜色に染まっていった。
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