程無くして帰ってきた少女は、上の制服を脱いでしまってるようで、私のウィンドブレーカーのチャックを上まであげてブカブカの状態で着ており、手に持ったランドセルには制服と帽子を無理矢理詰め込んだ様な形に成っていました。
…こんな格好の女の子連れて歩いてたら…俺が怪しいわぁ!
頭を抱えたくなる衝動に駈られながらも、私達は改札を出て、ちょっと少女と距離を置いて駅ビルの中に入って行きました。
『その制服ってどこのなの?』
「〇〇学園です。」
『ふ~ん…じゃあ毎日〇〇〇駅まで通ってんだ…大変だねぇ。』
「いえ…もう慣れちゃいました…。」
『何年生?』
「5年です。」
『なるほどねぇ…あ…あんな輩も…良く居るの?』
「しょっちゅうです…今日のは…酷かったんですけど…。」
駅ビルの中をウロウロ歩きながら私と少女は他愛ない会話をし、下着売り場に向かいます。
『あ…ここから先は一人で行ってくれる?さすがに俺は恥ずかしいわ(;´∀`)』
「クスッ…はい。」
なんだ"クスッ"て?今の格好のお嬢ちゃん連れて下着売り場なんか入ったら、オイラその場で取り押さえられちゃうよ!
『はい。¥1000渡してとけば良い?』
「…すいません…。」
程無くして、少女は小さな買い物袋を抱えて、私が腰掛けて待つ長椅子のところまで小走りに帰って来ました。
『トイレ行って履いてきなよ。』
「はい。」
少女は素直に私の言葉に応じ、私にランドセルを預けてトイレに行くのでした。
うむ…駅ビルの長椅子に、ランドセルと仕事用のバッグに挟まれて座る警備員…超怪しい絵なんだけど…(汗)
「お待たせしました。」
『あい。うんじゃ帰ろうか。』
「はい…。」
こうして私と少女は、更にもう一度電車を乗り継いで最寄り駅にたどり着いたのですが、やはり今日の出来事は少女にはショックだったようで、電車の中ではオドオドしていて私の側を離れる事はありませんでした。
『にゃ~…着いた!どうする?ここで平気かな??』
「はい!ありがとうございました。…あの…ウィンドブレーカー…。」
『あ?貸してあげるよ。俺の住所!(b^ー°)気が向いたら返しに来て。』
私は紙切れにメモした住所を少女に渡しました。
「すぐ近くだ…。」
『そなの?じゃあ、俺は喫煙所で一服して帰るから、気をつけて帰りなよ( ̄∀ ̄)』
「はい。私、〇〇サオリです。ありがとうございました(笑)」
『ハイハイ~(笑)』
※元投稿はこちら >>