庭の中を一通り案内してもらったのは、縁側から一望できるような拓けた庭ではなく、迷路っぽく散策できる造りだったからだ。
裏には茶室もあるという。
「すごく雰囲気ありますね…」
林の中に建っているように見えるが個人の邸宅なのだ。
「さすがに私でも夜は近づけないわね…」
そういう怖いくらいのムードは大好きだと話した。
渋い趣味だと思われたようだ。
一手間掛けたらできるような食料品が大型の冷蔵庫や冷凍庫にびっしり収まっていて、好きなのを選ばせてくれた。
「料理の腕は確かなの」
そういうだけあって、テーブルを埋め尽くすように並べられた料理はどれも絶品だった。
畳の上に胡座をかいて座り、庭を眺めながら食事をしていると一流料亭にでもいるような錯覚を起こす。
食事がすむと、未成年とわかっていながらワインをすすめられた。
「ワインはアルコールじゃないの…」
いたずらっぽい目つきで笑った。
「子供が甘酒飲んでもいいって感覚ですか?」
「あら、上手…本当にそんな感じ」
おそらく高級ワインなのだろう。
口当たりは滑らかでジュースのようでもあり飲みやすい。
「なんだか竜宮城にでもいる気分になってきます」
「あら、おとひめ様がおばあちゃんなのが残念だわねぇ…」
「いえ、社長はおばあちゃんまではいかないと思いますけど…」
本心だった。
「そお、ありがとう。でもあとちょっとで還暦なのよ…」
簡単に年齢がバレそうな事を言うけど、やっぱり予想していた通りだった。
自分は奥様という娘がいるから年齢も予測ができたが、全く知らずに当人だけを見ていたら五才くらいは若く見えるかもしれない。
どちらにしても、全然抱けそうだなと考えていた。
「私も久しぶりに楽しかったわあ…これからも遊びに来てぇ~…これがアルバイトでもいいわよぉ…」
「いやあ、そんなとんでもない!バイト代どころかこっちが何かお手伝いでもしなきゃ割りに合わないくらいです。草むしりくらいならいつでも言ってください。」
それなら毎日でも言いつけたいわと社長は喜んだ。
(喜んで!報酬は社長の体で…)
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