小用を済ませると居間に向かった。途中、台所に居るおばさんに声を掛けた。「ありがとうございました」ニコッとして笑うと「ええよ。もうすぐ出来るからな。テレビでも観てろ。」と飾りのない返事を返した。居間の畳の上に座ると、お盆に品々の総菜を運んで来る。ご飯などは大盛りだ。煮魚、煮物…そういった物が並んでいた。「こんな物ばかりだけど口に合うかね?」山菜の煮物を口に入れると頷いた。「山菜は裏山から採ってくんの?」山が近いせいもあり、地元民は皆そこで春は山菜、秋はキノコなどを得ていた。地元に根を張り、其処で生活する様々な術を身に着けていた。「今は何採って来んの?」あまり山には興味がなかった。「んだな…ワラビ、ゼンマイ辺りかな…」そう言って窓から山を見つめていた。ある日、突然何かに気付く時がある。空が青い…山の緑…普段見慣れたせいか、ふと気付く時がある。(おばさんて結構綺麗だよな)何気ない気付きであった。茶碗を持ちながらその姿を目で追っている自分がいた。
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