「…あ…あの…蛭間さん…何と言えば良いのか…本当に申し訳無い事をしてしまって…でも…本当に私…覚えてなくて…」
普段は堅物で毅然としているはずの未鈴が、今はしおらしく俯いたままだ。そんな未鈴の姿を目に蛭間は内心嬉しくて堪らない。
(いつもは当たりがキツい早乙女課長が、こうも俺に頭が上がらなくなんて笑いが止まらんよ)
「そうですか~課長、覚えてないのか忘れたのか、それともトボケてるんですかねぇ? もしかして課長、覚えてないから無かった事になるって意味ですかぁ?」
「……いえ…そんな…無かった事になるって…そこまで言ってるつもりでは無くて…そんなつもりじゃ…」
「ですよねぇ だったら事実って事で良いんですよね?」
(…私が記憶を失って、蛭川と神崎に介抱されて自宅まで送られたのも事実…夫から聞いた内容も事実…何よりもさっき見せられたのは紛れも無く私の事実…あぁ…やっぱり私…)
未鈴にとっては、記憶を失ったとはいえ、何処をどう考えても最早全てが事実であると思わざるを得ない。
更に、いつまでも認めなければ二人が会社の上層部に報告してしまうかもしれない。
「…そ…そうね…事実だわ…蛭間さんや神崎さんに酷い思いをさせてしまったわ…あ、謝らせてください…」
「課長が謝りたいって言うんでしたら一応お聞きしますよ ドウゾ~」
「…蛭間さん…神崎さんも…お二人には大変…不快な思いをさせてしまい…誠に…」
「課長~っそんなんじゃ謝罪にもなりませんって ご自身が何をどうしたのかも経緯をちゃんと説明した上で謝ってくださいよ~」
「…せ、説明って…」
「僕と金崎さんの話しは聞いてました?それかもう一度動画見ます?ってか、やっぱりもう一度動画見てご自分が何をしたのか確認する必要がありますね~それか部長にでも確認してもらいます?」
未鈴は、蛭間と金崎という三人の当事者以外である部長という名前が出たことに恐怖を感じた。
「っ!駄目よ…それだけは駄目…見るから…もう一度確認するから…お願い…」
二度と見たくもない自身の映像を蛭間から再び見せられる未鈴だった。
「どうです?課長がご自分でされた事、分かりました~?」
「え…えぇ…もういいわ…もう充分だから…」
「では課長、続きをドウゾ~」
「…蛭間さん…神崎さん…私は…懇親会でお二人に介抱して自宅まで送っもらう途中で…タクシーの中で騒いでしまい…蛭間さんと…ホ、ホテルの中に入ってしまい…」
「課長!違いますよソコ!“ホテルに入って”、では無いでしょう?事実は“嫌がる僕を無理矢理に”でしょうが」
「それに、ただのホテルじゃなくってラブホテルですね~」
「…わ、分かったわ…わ、私は懇親会でお二人に介抱して自宅まで送ってもらう途中でタクシーの中で騒いでしまって…い…嫌がる蛭川さんを…無理矢理ラ…ラブホテルに連れ込んで…しまいました…」
「そうですね、その通りですよね?じゃ続きをお願いしましょうか ラブホの部屋に無理矢理に連れ込んだ僕に課長がレイプした顛末をね」
「…そんな…レ…レイプだなんて…そんな…」
「ん?違うんですか~? 神崎さんは“あれは部下が上司からレイプされたも同然だ”って言ってたし僕もそう思ってるんですけど…課長があれはレイプじゃないって言うんなら、証拠もあるしレイプかどうか部長に聞いてみましょっか?」
証拠とはいえ、あんな動画を第三者が目にしたら、今まで築き上げた自分のキャリアも社会的な信用も全て失ってしまうのは間違いない、それだけは止めなければ…。
「…ご、ごめんなさい…やっぱり…違わないわ 蛭間さんの…言う通り…レ、レイプ…です…」
「じゃあ、もう一度最初から課長のやらかしを説明してもらいましょうかね」
未鈴は反省と称した自分の行いの説明を口にするが、少しでも取り繕った言葉はすぐに蛭間に訂正されやり直しを促されてしまう。
「課長が僕をどうレイプしたのかも説明してもらいますからね 嫌がる僕のチンポを無理矢理課長の手で勃起させて、僕を馬乗りにして騎乗位でレイプですってね」
「更に、人事評価を盾に“勃起させなきゃ評価落とす”って僕のチンポにフェラチオしながら脅してましたよね?」
未鈴にとって蛭間の言う事など全く覚えの無い内容ばかりであったが、今の未鈴には先程まで見せられた動画こそが自分の行いだったのか…と思い知らされてしまう。
「課長がまたトボけたり覚えてないなんて言わない様に証拠として記録に残しておきますからね~ ちゃんと直立で気を付けの姿勢で最初からお願いしますね」
蛭間も持つスマホのカメラを向けられた未鈴は、半ば強制された蛭間の言葉通りに反省の弁を残したのであった。
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