(…これ以外に思いつかないわ…とにかく早く夫に言い訳しなくては…それにそういえば午後からは…大丈夫かしら…)
昼の間際、会議を終えた未鈴は疲れ切った頭を回し、いかにして夫に取り繕う術を考えていた。
昨夜はほとんど睡眠も取れず口や顎も疲れ果て、アソコもアナルもヒリヒリと痺れている。
未鈴はいつもの面談室に理恵を呼び付ける。何とか理恵に協力してもらって夫に言い訳を取り繕うためだった。
「…か、神崎さん…お願いできるかしら…? 私と同じ女性なら夫も信じてくれるはずだわ だからお願いっ…協力して欲しいのよ…」
「ふ~ん…なる程ねぇ~てゆうかそもそも課長は昨日の夜は何してたんです?昨日と同じ服だし…それに課長なんかナマ臭い匂いしてません?昨日は自宅にも帰らずに何してたんですか~?」
未鈴は香水で誤魔化した匂いを同姓である理恵に見抜かれた事に恥を感じるばかりだったが、今はその同性の理恵の協力以外思いつかないのだ。
更に昨夜の事を問われるが、既に蛭間が理恵に伝えていないとも限らない。理恵に対して変に誤魔化すだけ悪手としか思えない。
「…昨日は、夜からずっと…〇〇の公園で男の人達と…気付いたら朝になってて…」
未鈴はここで誤魔化しても仕方無いと諦め、公園内で10人もの男達と夜通し身体を交わしていた事を告白した。
「…だ、だから…夫に無断で外泊したのを誤魔化さなきゃいけないのよ…同じ女の貴女と…徹夜で会社に一緒だったって電話で夫に伝えるから一緒に口裏合わせて欲しいのよ…」
「あら?ダンナさんに嘘を言えってアタシに言うんです?酷い奥さんですね~…まぁいいですけどね いいですよ、TELしてくださいよ」
未鈴は理恵の承諾を得て夫に電話を掛ける。あとは理恵が素直に協力してくれるか祈るばかりだった。
「…あっ、あなたっ…昨日はごめんなさい…実は会社で、今日の会議の資料を作ってて…会社の部下の子と夢中になってしまってたの…本当にごめんなさい」
「あ~未鈴、こんな事初めてだから心配してたよ~会社で泊ったって?大丈夫~?」
スピーカー状態での夫婦の会話に理恵が割って入ってくる。
「あっ、早乙女課長のご主人です?アタシ去年入社した部下の神崎理恵と申します~…昨夜は申し訳ありませんっ…課長のお力を借りて…ずっと社内でご一緒に手伝っててもらって…夜通しで緊急の資料を作ってたんですよ~誠に申し訳ありませんでした~…」
「あ~神崎さんね 先日、自宅まで家内を送ってもらった神崎さんですよね こちらこそ先日はありがとうございました 今回もわざわざ電話までしてくださってすみません…安心しましたよ」
未鈴の夫は、妻が未鈴と同性の若い神崎と一緒だったという話しに安心しきっている。そして理恵は口元に笑みを浮かべながらスラスラと噓の言い訳を告げるのだった。
「じゃ、じゃああなた…これで失礼するわ、仕事に戻るわね…また…遅くなりそうだったらごめんなさい…先に謝っておくわ…」
電話を終え、なんとかこの場を切り抜けた未鈴はホッと胸を撫で下ろすと同時に、理恵の目の前で夫を裏切るような嘘を並べ立てた自分に、ゾクッとした妖しい感覚を覚えた。
「課長、これは大きな借りを作っちゃいましたね~ 課長の尻拭いしたんですから感謝してくださいよっ ダンナさんに嘘ついて実は公園で乱交パーティでしたっけ?最初っから課長の声を全部録音してありますからね ダンナさんに本当の事がバレない様に気を付けてくださいね~」
「…くっ…あ、ありがとう…感謝するわ…」
未鈴は今までの理恵との会話に始まり、夫への言い訳の電話までを全て録音されていたと聞かされた。10人もの男達と夜を過ごして家を空けただなんて…こんなものを夫に聞かれたら…と自身の破滅を想像して身震いする未鈴だった。
「…そ、そういえば今日は…午後から神崎さんと同行の予定…だったわよね…?」
未鈴の課では、月に1度か2度のOJT名目での上司との顧客への同行訪問を行っている。今日は課長である未鈴が理恵と同行する予定であった。
「もちろん覚えてますよ~ アタシの方は準備出来てますから何時でも出発出来ますよ 課長、よろしくお願いしますねっ」
未鈴は理恵の運転する車の助手席で気乗りしないまま揺られていた。もちろん部下との同行訪問は業務であるが理恵と二人きりの状況に不安を覚えていた。
「ちょっと神崎さん…こんな所を通って行くの…?」
理恵の走らせている場所…未鈴が周囲を見渡すと、そこは明らかにごく普通の日常とはかけ離れた光景であった。
所々に並ぶラブホテル、いかがわしいアダルトショップ、派手な看板を掲げているビルの風俗店の数々…そんな通りに理恵は車を走らせていたのだ。
「あっ課長、アタシ言ってませんでしたっけ?今日の予定…相手先から都合悪いってキャンセルもらってたんですよね それで今日は新規のお客さんの所へ話しをしに行く事になったんですよ~」
すっとぼけた様に告げる理恵に
「それならそうと前もって私に教えてくれないと…」
「ごめんなさいねぇ…この辺りだわ…ちょっと先方に電話しますね」
「…お世話になります~株式会社NIZUNOの神崎と申します~…はいっ…ええ、そうですね~え?そうなんですか~?今日は上司と一緒なんですがマズいです?」
何処かにTELし始めた理恵の隣で様子を伺っている未鈴は、アポが不調の様な気配を察し、
(…ここもキャンセルなら…早く会社に戻りたいわ…このコと一緒だと不安しかないわ…この辺りも何かいかがわしい雰囲気だし…こんな所にうちの客がいるっていうのかしら…)
と考えていた。
未鈴の勤めている会社は主にスポーツ用品全般を扱っている会社だ。この界隈の雰囲気と未鈴の会社とでは明らかに業種が違っていた。
理恵が電話をしている相手というのは、実は顧客でも何でもない理恵の元同僚の風俗嬢であった。。
理恵は昨年までの学生時代はこの界隈のSМ風俗店でアルバイトとして勤務しており、その時からの友人でもあったのだ。
「課長~ごめんなさい 先方さんが…あんまり何人も人を連れてきて欲しく無いそうで…アタシ一人で行ってきますね~課長は待っててもらえます?」
「…理由は分からないけど先方がそうおっしゃってるなら仕方無いわ…なら私、どこかで車の中で待ってるから…」
今の未鈴は出来れば理恵とは離れていたい…そう思っていた未鈴には好都合だったが、理恵は最初から別の企みを立てていたのだ。
「課長はここで待っててくださいよっ この辺りって課長が好きそうな場所でしょ? アタシはお客様に渡す荷物があるから車をお借りしますね」
「…ここで…?こんな所で降ろすって言うのっ?」
「そうですよ~車借りるから早く降りてくださいっ アタシ早く先方に行かなきいけないのよっ せっかくだからこの鍵は外してあげますねっ」
未鈴はあれこれ言いくるめられ車から降ろされてしまった。
「課長、ここで待っててくださいね~もっかい言うわよ、ここから動かない事!すぐ戻るかもしれないから何処にも行かない事よっ!」
「わ、分かったわ…分かったから、そのかわり出来るだけ…早く戻って来てね…お願いするわ…」
「分かりましたよ~ あっ、それと…課長のバッグ貸してっ課長のバッグ預かっておくからその代わり…代わりにこのバッグ渡しとくからこれ持って待っててくださいね~」
未鈴は車内に自分のバッグを残したまま、理恵に全く別のバッグを押し付けられ歩道に取り残されてしまったのだった。腰の鍵だけは外されたが、こんな場所でスカートを捲ってハーネスを外すわけにもいかない。
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