業務終了後、未鈴は会社から少し離れた街中で既に待っていた蛭間の車の助手席に乗り込む。
「…ね、ねえ…蛭間さん…仕事帰りに男性の車に乗るなんて…あまりさせないで欲しいわ…誰かに見られたら…」
「あははっ こんだけ離れれば大丈夫ですって さぁ少し移動しますよ」
車を走らせるなり。蛭間は助手席の未鈴のスカートの中に手を忍ばす。
「まさかとは思いますが…ほらやっぱり…相変わらず濡れてるじゃないですか~?課長はホント所構わずサカってるんですね~」
美鈴がどれだけ自制しようとしても、朝一からアナルに浸透している催淫剤は効果を発揮していた。
「…大体…何処へ行こうっていうのよ…?…買い物って何を…」
「今からお店に課長の服の買い物ですよ テーラー〇〇って所です 課長の行き付けの服屋だそうですね~」
「…何でそんな事を知ってるのよ 付き合いのあるお店なのよ…っ 貴方と一緒だなんて無理よ…っ」
蛭間の告げた店は数年前からの未鈴が利用しているオーダーからセミオーダーまで希望通りに仕立ててもらえる個人経営のテーラー店なのであった。
元から未鈴は外出用のいくつかの服をこの店で仕立ててもらっている馴染みの店だ。
「神崎さんに教えてもらったんですよ~ 課長の行き付けの店だってね 店のLINEも登録してるそうだって言ってたし場所調べたらそんなに遠くなさそうですからね」
「…LINE・・・って…私のLINEを?人のスマホを勝手に見たのっ?」
「僕じゃないですって、神崎さんですよ~ 課長のスマホ、ロック掛けないでデスクに置いてあったからちょっと拝借したって言ってましたよ」
「…そんな…なんて事をしてくれるのよ…一体どこまで中を見たのよっ?」
「さぁ?どこまでって僕には分かりませんけどね…でも今時スマホの中のデータとか情報なんてアッという間に抜き取れますからねぇ」
未鈴は自分のスマホの中に入っている情報を思い浮かべる。夫や両親、友人知人、職場関係の連絡先から連絡アドレス、そしてスケジュールまでビッシリなのだ。
(…迂闊過ぎる…もし悪用されたら…もしあの動画が誰かに送られたら…終わりだわ…)
「…あ、あの…あのね、蛭間さんっ…お願いなんだけど…あのコ…神崎さんが勝手に私の連絡先に…勝手に何もしない様にくれぐれも…釘を刺しておいて欲しいの…お願いだわ…っ」
「あぁ大丈夫ですよ しっかり言っときますけど、それは課長次第だと思ってくださいね 今日みたいに文句は言わない、嘘はつかない…どうですか?」
「…わ、分かったわ…言われた通りにするし、ちゃんと正直に言うわ…だから絶対あのコに…」
「分かりましたって、神崎さんが早まらない様に釘を刺しておきますね~ ただし、今課長が口にした言葉の結果次第ですからね~」
「あっ、もうすぐ着くみたいですよ~ 今から課長と打ち合わせをするんですが…よく聞いてくださいね」
「いらっしゃいませ~…あら~早乙女さんじゃないの お久しぶりね~」
未鈴より10才位上か、この店を一人で切り盛りしている40半ばの女主人の店長の声が響く。
「…こ、こんばんわ…あの…久しぶりに…いくつか用立てをお願いたいなって思って…寄らせてもらったの…今からでもいいかしら…?」
「もちろん大丈夫よ~ いつもありがとうございます あれ?お連れの方?お友達かしら?」
女店長は客商売柄、未鈴が過去に夫を連れて店を訪れてた事は当然覚えている。
しかし、今日既婚者の未鈴と一緒にいるのは記憶にある未鈴の夫ではなく、見た事も無い同年代の男なのだ。
「あ~僕です?僕、未鈴の友人なんですよ~ 僕もちょっと見学がてらお邪魔してもいいですか~?」
蛭間の口から出た“未鈴の…”という呼び捨てを女店長は聞き逃さない。
「あ、あら、お邪魔だなんて全然構いませんよ~ぜひご覧になられてくださいね~」
(…今、この男、ただのお友達のくせに早乙女さんを“未鈴”って言ったわよね…)いぶかしく感じながらももちろん顔には出さない女店長であった。
「早乙女さんっ今日はどんなのをご希望かしら?」
「…あ、あの今日は…シャツとかスカートをお願いしようかなって思ってて…」
未鈴は先程までの蛭間から言われていた内容を思い出して注文を告げるが、即、蛭間が口を挟み始める。
「そうそうっ未鈴は以前から、もっと肌の出る服が欲しいって言ってたんですよ~だよねぇ未鈴?」
そんな話しなど蛭間からは聞いていなかった未鈴だが、店内での会話は必ず肯定する様に指示されていた。
「…そ、そうね…今から…夏向けに用意したいなって思ってて…」
「そうだよねぇ 何かですね~未鈴はこういうイメージなのを着たいそうなんですよ~」
蛭間はスマホを取り出し、アパレルサイトから一枚のモデルの画像を女店長に向けた。
「…あら~…早乙女さんイメージチェンジなさるのかしら? …早乙女さんもこんな感じで良かったの…?」
蛭間の見せた画像は、普段の未鈴の装いとはかなりかけ離れていた。
普段は清楚もしくはエレガントなイメージの装いの未鈴の服装だが、画像のそれは肩を大胆に露出したノースリーブのホルターネックタイプのブラウスと完全に膝上丈でフロントにスリットが入ったスカート姿のモデルの画像だった。
「…え、えぇ…そう…イメージチェンジもたまにはいいかなって…」
(…こんなの私が着れる訳ないじゃないの…持ってたってタンスの肥しになるだけよ)
「じゃあ早乙女さん、細かい部分は後から伺うけど…着丈は測っとくかしら? 前のままのサイズで合わせればイイかしら?」
今の未鈴は女店長に身体のサイズを測られる訳にはいかない、今朝から未鈴の服の中の下着は上下とも剝ぎ取られたままなのだ。
「えっ?あっ、あぁ…だ、大丈夫だわ…サイズは前のままで…」
しかし、その女店長の言葉を耳にして、思いついた蛭間が口を挟む。
「あ~そういえば未鈴ってさぁダイエットしてるって言ってたし、せっかくだから痩せたかもしれないからちゃんと測ってももらったらどう?」
そんな蛭間の言葉に未鈴の心臓がおののいた。
女店長に自分の身体をメジャーで当てられたら…自分がノーブラノーパンである事はすぐに気付かれてしまうはずだ…どう思われてしまうのだろう…。
「…そう言えば…そうだったわね…せ、せっかくだから久し振りに測ってもらおうかしら…?」
(…蛭間の言う事に…否定したら駄目なのよ…これは…仕方が無い事なのよ…)
自分で自分に言い訳をする未鈴だった。
未鈴は戦慄と同時に他の何か妖しいゾクっとした感覚に襲われるのだった。
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