それから10日ほどが過ぎた。
朝のラッシュ時、スーツ姿の栞が地下鉄に乗ろうと客列に並ぶと、不意に後ろから声をかけられた。
「鮎川さん、おはようございます」
「あっ、磯原さん、おはようございます」
「珍しいですね、朝一緒になるなんて、、、」
「そうですね、、、今日は早めに出たんです、、、」
子供に手がかからなくなり栞は契約社員として働き初めた。
けれどホームで顔を合わせたのは初めてだった。
省吾の整った優しげな顔立ちに胸がときめいてしまう。
あのとき、熱く見つめ合ったことが頭を過ぎる。
わたし、、、どうしちゃったんだろう、、、
まるで学生時分に戻ってしまったみたい、、、
列車が到着した。
並んで乗り込む。
二人は後ろから押し込まれ向かい合う態勢になっていた。
乗客が更に乗り込み周りから押されてしまう。
それにつれ栞の豊満な胸が正面から密着することになってしまった。
とてもよけられる状況では無い。
大丈夫ですか?
声を出すわけにもいかず、省吾は目で尋ねる。
気にしないで下さい、、、
栞も目でそう応えた。
二人の身長差のせいでどうしても栞は見上げるかたちになる。
年を感じさせない可愛らしい顔立ちに薄っすらと頬を染めるはにかんだ表情が男の保護欲を駆り立てる。
そして、、、押し付けられる乳房、、、柔らかく、それでいてズッシリとした量感が省吾を熱くする。
省吾は勃起していた。
あっという表情を浮かべ栞が俯いてしまう。
まずい、、、気付かれてしまった、、、
謝るわけにもいかないし、、、
とにかく静まれ、、、頼む、、、
栞に嫌われたくない、、、
願いも悲しく更にイキリ勃つ。
くそっ、、、
これじゃ痴漢だと思われてしまう、、、
絶望感に襲われたとき、、、
乳房を押し付けてくる感覚が、、、
それは栞の意思を感じさせるものだった。
そして勃起にも、、、
えっ、まさか、、、
少し栞の息が荒いような気がする、、、
これって、、、
栞を抱きしめたい。
そんな気持ちが込み上げる。
省吾は自ら勃起を押し付けた。
「あっ、アン、、、」
栞の声が漏れる。
その時、列車が目的の駅に到着した。
二人は押し出されるように車両を出た。
人波から逃れるように邪魔にならない場所へと移動する。
栞は潤んだ瞳をしていた。
まるでベッドの中にいるようなオンナの色気を感じさせた。
思わずゴクリとツバを呑む。
「栞さん、、、今日はジムに行きますか?」
「、、、はい、、、」
「俺も、、、待ってます、、、」
栞は真っ赤になって頷いた。
このまま抱きしめホテルに連れ込みたい、、、
そんな気持ちを何とか抑え込む。
二人は別れ、それぞれの職場へと向った。
つづく
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