程なくして飲み物が届いた。
『乾杯でもないし、はじめましてでもないし』
『何て言うのかしら こんな時って?』
「まあまあ、とりあえず…」
そう言ってグラスをあわせた。
『で、どうしたら その…』
『私 次第って…』
「…そうですね、どうしましょ?」
「知ってるんですか?、彼は…」
「こうして私と会っている事」
『はい』
『さっき電話して…』
何だか歯切れが悪い、無理もないか?
「で?、どうでした?」
『仕事用の携帯に掛けたんですけど、土曜たぞ そんな急に出られない、って』
『100万位なら準備するから 何とか 話しを まとめて来てくれって』
『ホント!最低!!』
『ゴメンなさいね』
「最低ですね」
「100万で済むのかなぁ?」
「W不倫な訳でしょ?」
『足らないですか、足らないですよね?』
『私 どうすれば?』
「お金なんて 要らないですって」
「さっきも言ったでしょ?」
「君代さんでしたっけ?、知らないんですよね?、親友に旦那を寝取られてるなんて、彼の返事の様子からすると」
『…寝取るって そんな…』
「何か 違いますか?」
染谷さんが返事に困っている
「君代さんにも、染谷さんのご主人にも慰謝料はらって…」
「染谷さん?、あなたも払う事になるんでしょうけどね、泥沼なんてモンじゃないでしょうね?」
『キミちゃんは知らないけど ウチは 少し違って』
「知ってるんですか?ご主人」
『いえ!』
『まだ知らないですけど…』
「…まだ?」
「どう言う事でしょ?」
「何だか訳あり みたいですね?」
『ええ、ちょっと…』
一層 歯切れが悪くなった
「ちょっとって?」
『話さないとダメですか?』
「言ったでしょ?、染谷さん次第ですよ」
『もうすぐ70なんですけど 主人…』
『定年の少し前だから 10年ちょっと前になるのかしら、前立腺にガンが見つかって、手術して患部を取って、そのうえ糖尿の気もあって 以前から』
『で、段々とその…』
『あっちの方がダメになって来て…』
「染谷さんは お幾つなんです?」
『私は 44年生まれなので、4つ上です、工藤さんの』
「へぇ、て事は 結構離れてんですね ご主人とは」
『はい、15ほど』
「俺も ご主人くらいの歳になったら 勃たなくなってくんのかなぁ?」
「で?、何が少し違うんです?」
「この際、恥ずかしがらずに教えて下さいよ」
『その…』
『初めの頃は色々と…』
『その…、薬とか、…玩具とか』
『でも…、衰えていく一方で…』
『最近では 男が出来たら会わせろとか、連れて来いとか…』
『信じらんないでしょ?』
『何 考えてんのかしら あの人』
「世の中には 寝取られ趣味の人も居るみたいだし、染谷さんが抱かれてるトコみれば勃つかも? とか思ってんじゃないですか?」
『嫌よ!そんなの恥ずかしい!』
「連れてけば良いじゃないですか彼、君代さんの旦那さん」
『出来る訳ないじゃない そんな事!』
『キミちゃんのご主人よ、ウチの旦那も知ってるのよ、出来る訳ないじゃない!』
「染谷さん?、そう声を荒げなくても…」
『ゴメンなさい、つい…』
「ま、染谷さんのご主人も もう1度 ブチ込んでみたいんでしょうね?、染谷さんのオマンコに」
「自分のチンポで 逝かせたいんでしょうね染谷さんのこと、そんなトコなんでしょうね」
『・・・・・・・』
染谷さんは 俺のストレートな物言いに 手で口元を押さえて黙りこんでしまった。
「俺、立候補しましょうか?、染谷さんの男に、どうですか?」
『本気?』
『本気でそんな事 言ってるんですか?』
『からかわないで下さい』
『ひどいです 工藤さん』
「染谷さんに ひどいなんて言われたくないなぁ俺…」
『ゴメンなさい』
「でも 本気ですよ」
「立候補します、どうですか?」
『どうですか?って…』
『・・・・・・』
『石橋さんと別れて工藤さんと…、って事でしょうか?』
「別れろなんて言いませんよ、君代さんのご主人なんですから」
「むしろ 続けて下さい」
『…そんな事』
「どのくらいですか?」
「いつ頃からとか?、月に何回とか?」
『・・・・・・・』
『3年近くなるのかしら』
『今は 月に1回会えれば良い方で』
「何だか 月イチじゃ満足できてない、そんな言い方ですね、フフ」
『そんな…』
「3年ですか?」
「良くバレなかったですね 君代さんに」
『そこは それこそ…』
「それこそ?」
『慎重に気を使って…』
「…そうですか?」
『で……』
『私 どうすれば…』
「立候補します、染谷さんの男に」
「バツ1なんで 染谷さん次第で 月に何度でも!」
「ご主人にも お会いしますし」
『本当に 本気で おっしゃってますか?』
「本気ですよ 本当に!」
『どうしましょ私…』
染谷さんが言いかけた時にピザが届いた
「ピザも届いた事ですし、食べながらに しましょ、グラス 空ですよ、何か頼みましょ」
『…あ、はい』
『想像も しなかったから私、工藤さんから そんな事 言われるなんて…』
『喉がカラカラで…』
『同じので良いんですか工藤さん』
「はい、お願いします」
染谷さんが おかわりのドリンクんたのでいる、勢いに任せてポンポンと…、自分でもビックリしていた。
さて、染谷さんは どんな答えを出してくれるのだろうか?
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