二人はその日、ドライブを愉しみ温泉街へと向った。詩織が予約したのは趣きのある宿だった。
「ここか、、、いい感じだなぁ、、、」
「そうでしょう?わたしがチェックインしてくるから待っててね、、、」
「うん、じゃあ頼もうか、、、」
仲居さんを連れて詩織がやってくる。
部屋まで案内してくれるようだ。
そしてそこは離れだった。
「凄いな、これ、、、景色もいいし、、、ところで、俺の部屋は?」
「何言ってるの?一緒に決まってるでしょう?」
「えっ、、、でも、、いいのか?」
「何が?」
「いや、、、そうか、、、部屋もあるし、別々に寝ればいいか、、、」
「細かい事言ってないで見てよこれ、、、中庭にお風呂もあるんだよ、、、」
「本当だ、、、スゲェ、、露天風呂じゃん、、、」
「後で一緒に入ろうね?」
「えっ、、、ああ、うん、、、」
そうか、バスタオルでカラダを隠せば、、、
それでもドキドキするな、、、
ジャケットを脱ぎブルーのハイネックのニットとデニムパンツになった詩織を見つめる。
相変わらずスタイルいいよな、、、
脚が長くてスリムでお尻がプリンとしてるし、、、
それに、、、こんなに胸が大きかったっけ、、、
ニットの胸元が張り詰めていた。
高さがある。
「わたし、へんかな?なんだか海斗君の目つきエッチいけど、、、」
「ゴメン、、、いや、その相変わらずスタイルがいいなって、、、」
「ええっ、、、嬉しいな、、、ねえ、周り散歩しない?」
散歩をすませ館内も見て回る。
一旦部屋に戻ってから大浴場へと向った。
もちろん男女別々だったが海斗は存分に温泉を満喫した。
先に出ていると浴衣姿の詩織が脱衣所から出てきた。
海斗はその姿に思わず見とれてしまっていた。
髪をまとめ上げ、その美貌を火照らせている。
白地に青の朝顔が描かれた浴衣が成熟したオンナの魅力を更に際立たせていた。
キレイだと思った。
そして匂うような色気を感じた。
「どう?似合うかな?」
「うん、、、凄くキレイだよ、、、」
「ありがとう、、嬉しい、、、」
部屋に戻ると豪勢な夕食が用意されていた。
「凄いな、、、これも、、、」
「本当、、、ねえ、食べようよ、、、」
頼んでいた冷えたワインを飲みながら二人は食事を愉しんだ。
食事を済ませると二人は庭に面したテーブルへと移動した。
ワインをかたむけながら今日のことを振り返る。
「詩織の選んだコースだけはあるよ、、、愉しかった、温泉も食事も最高だった、、、」
「良かった、、、よろこんで貰えて、、、」
酔いにほんのりと染まった頬、少しだけはだけた浴衣の襟元、、、
たまらなく色っぽかった。
「ねえ、、、高校の時のこと、、、話してもいい?」
「うん、、、どんなこと?」
「わたしね、、、凄く好きな人がいたの、、、」
純也のこと、、、だよな、、、、
「でもその人、女の子に凄く人気があって、、、告白しようと思ったのに出来なかった、、、自信がなくて、、、他にも可愛い子がアプローチしてたし、、、」
詩織は遠くを見つめるようにして話しを続けた。
「そのうちに、、、その人の親友と話しをするようになって、、、彼の事を相談したの、、、彼を好きだって、、、付き合いたいって、、、そしたら、彼には他にずっと好きな人がいるって、、、言われたの、、、」
まさか、、、
「それって、、、」
「真里奈を思い続けてるって、、、海斗は一途だから諦めた方がいいって、、、純也が言ったの、、、わたし、凄く辛かった、、、でも真里奈も友達だったし、、、二人が幸せになれるなら、、、そう思って諦めることにしたの、、、そして純也に慰められているうちに、、、付き合うことに、、、」
「そんなことがあったのか、、、でもそれは全部純也のウソだ、、、」
「えっ、、、だって、、、」
「俺は詩織のことが好きだった、、、初めて会ったときから、、、こんなにキレイで、純粋で優しい女の子がいるんだって、、、誰にも言わなかったけど、ずっと想い続けてた、、、」
「ウソ、、、そんな、、、」
「告白しようと何度も思った、、、でも、愉しそうに純也と話しているところを見て、、、そのうち二人が付き合い始めて、、、諦めたんだ、、、いや、諦めないといけないと自分に言い聞かせた、、、そして真里奈から告白されて、、、」
「そんなの酷いよ、、、あの人達、、、酷すぎるよ、、、」
「そうだな、、、初めから騙されていた、、、」
沈黙が流れた、、、
親友ヅラをした男に初めから踊らされていたんだ、、、
きっと詩織のことを狙っていたんだろう。
相談されたことを利用し、自分に都合の良いウソを並べてまんまと詩織を手に入れた。
愚かにも自分はそんな男を信じ切っていた、、、やり切れない気持ちが込み上げる。
海斗は立ち上がった。
「どこへ行くの?」
「庭の露天風呂に入ってくる、、、少しでもスッキリしたい、、、」
5、6人は入れそうな岩風呂だった。
屋根は無いが周りは塀で囲まれ覗かれる心配はない。
程よくライトアップされた趣きのある露天風呂。
湯船に浸り夜空を見上げる。
いい湯だ、、、
くよくよ考えても過去のことはもう変わらない。
これからどう生きるかだ、、、
そう思ったとき、ドアが開く音がした。
振り向くと詩織がいた。
バスタオルをカラダに巻いていたが、その色っぽさに目を奪われた。
「わたしも入りたくなっちゃった、、、お湯加減はどう?」
「最高だよ、、、」
声が上擦っていた。
バスタオルの下には、あの頃散々に想像していた詩織のカラダがある、、、
恥ずかしげな詩織の仕草に男の欲望が騒ぎ出す。
向かい合うように湯に脚を入れ腰掛ける。
「わあ、本当だ、、、気持ちいいね、、、」
赤く染まった頬は温泉や酔いのせいだけではなかった。
ムッチリとした太ももに海斗の視線を感じる。
ああ、、、わたし、、、酔ってる、、、
ゆっくりとバスタオルの合わせ目をほどく。
「えっ、、、」
海斗はそのまま湯船に入ると思っていたようだ。
海斗に見て欲しい、、、
いや、わたしのカラダを見せつけたい、、、
ハラリとバスタオルを取り去った。
続く
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