6、夜の宴
夜の海辺に、炭の香りと笑い声が漂っていた。初めてのバーベキューに、
子供たちは大はしゃぎ。焼きそばやとうもろこし、焼きマシュマロまで、
母親たちも一緒になって楽しんでいた。
「これ、焦げちゃった〜!」
真帆が笑いながらトングを振ると、子供たちが「食べるー!」と声を上げる。
亜里沙は炭の前でうちわをあおぎながら、
「次はソーセージね!」
と張り切っていた。
食事のあとは、手持ち花火。火をつけるたびに歓声が上がり、火花が夜空に散っていく。
子供たちは夢中になって火を見つめ、母親たちはその様子を見守りながら、
時折目を合わせて微笑んだ。
やがて、夜の9時を過ぎるころには、子供たちは満足そうに眠りについた。
貸別荘の部屋の中では、布団にくるまった小さな寝息が静かに響いていた。
外のテラスでは、かなり酔った亜里沙が缶チューハイを片手に、
明るい声で言った。
「この後は、互いに満喫しようね」
翔太は笑って頷き、そっと亜里沙の手を取った。
「じゃあ、うちの別荘、行こうか」
「うん、行こ」
自然な流れで、ふたりはテラスを離れ、翔太の別荘へと向かった。
その背中を見送りながら、真帆は少しだけ不安げな顔をした。
「子供たち、ちゃんと寝てるかな…」
真帆が言うと、悠人が隣で頷いた。
「俺も、ここに残るよ。何かあったらすぐ動けるし」
「ありがとう。なんか、心強い」
ふたりはテラスの椅子に並んで座り、夜風に吹かれながら静かに話し始めた。
遠くで波の音が繰り返され、空には星がちらほらと瞬いていた。
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