食事を終えて車に戻り、二人で乗り込んでドアを閉めた。
「今日は付き合ってくれてどうもありがとう、おかげでうまいランチにありつけた・・いつまで私が持つか分からないけど、また誘ってもいいかな?すごく楽しかったし・・」
シートベルトを締めてエンジンをかけ、俺がシフトレバーに手を触れた時だった。それまで黙ってトートバッグを握り締めて、じっと前方を見つめていたMさんの右手が、シフトレバーの俺の左手にそっと添えられた。
「先生、このまま帰っちゃうんですか?・・・」
“えっ?” まっすぐに車の前方をみつめて、俺に尋ねてきたMさんの横顔を盗み見た。
「私、今日は夕方まで家に帰らなくていいんです・・だから先生、私をどこかに連れて行ってくれませんか?・・・」
俺にはMさんの心が測りかねた。
「どこかって?!・・・」
「どこへでも・・・、この前、先生が言った先生の人生の最後の女の人って、本当に私なんかでよかったら、私を先生の好きにしてください・・
あの日から、私ずっと考えていたんです。最後の女の人がこんな私なんかでも、先生は本当にいいのかって・・先生は私をからかっているんじゃないかって‥」
「でも、私は先生が好きです・・・、先生がいいのなら私、先生に抱かれてもいい、いいえ、抱かれたいって、そう強く思ったんです・・
だから私、今日は先生とずっと一緒にいたい・・、私をどこへでも連れて行ってください。私、付いて行きます・・・私、今日はそのつもりで来ました、どうぞ私を抱いてください・・お願いします・・」
消え入りそうに、小さな声で、しかしはっきりと俺に告げた。
Mさんの顔は全くまじめで、俺をからかっているような様子はない。
とつとつと話したその言葉の端はしに、Mさんの真剣さがうかがえた。
「Mさん本当にありがとう、そこまで行ってもらえると男冥利に尽きるよ。
今更だけど本当の事言うと、私は初めてMさんと会った時から、あなたに心惹かれていた。好きだった。一目ぼれだったんだ。
でもMさんはあくまで患者さん、私は整体師。ずっと言葉や態度に出さずに堪えてきたんだ。心の奥底にしまってね。だって15歳以上も年齢の違う女性に、懸想するなんてとんでもなく気恥ずかしくて・・
でもただこれだけは本心だから。
でも誤解しないで。Mさんに整体の施術する時は、あくまで患者さんと割り切って、決して邪な考え、不埒な思いは抱かなかったからね。それだけは信じて・・
ただ私の命にタイムリミットがつけられた時、どうしてもMさんに打ち明けたかった。分かっておいてほしかった・・・
実は私は50歳から今日まで、この20年間、女の人とは全く身体の交渉がなかった。もちろん女房ともね、もともと寝室も別々だし・・・実はある事件があってから、自分に戒めを課したんだ。金輪際、誰とも性交渉はなしで生きるとね・・・
だから今更、Mさんとも上手にセックスすることができるかどうか、抱くことができるかどうかは自信がない。
でもね、最悪、セックスなんてできなくても、Mさんと裸で抱き合う事で、分かり合えたい・・こんな不思議な気持ちは生まれて、初めてだ・・」
「先生、実は私もここ10年間は全くそういう事がないんです。10年前主人の浮気が発覚して、それ以来交渉は私が頑なに拒否してきたんです。もちろん他所の人ともそういう関係はまったくありません。だから最初先生の提案拒んだのも、そのせいかもしれません・・・私、正直に言って、主人しか男の人を知らないんです。だから、本当は怖いんです。
でも先生とならできそうな気がした。もう一度、女の私になれるかも知れない、昔の私を取り戻せるかもしれない・・って」
そう告白すると、Mさんは俺の左手から手を放して、トートバッグを握り締めた。
俺は一つ頷いて、静かに車を発進させた。
とりあえず俺たちの町から少し離れた、昔ながらのカーホテルに車を滑り込ませた。
車を降りる前、シートベルトを外したMさんの身体を、引き寄せて口づけした。人に見咎められる心配はあったが、死を覚悟した俺と、そんな俺に寄り添う決心をしたMさんの二人には、今更関係はなかった。
Mさんの覚悟を促すつもりで、キスを続けながら、スカートからのぞいているMさんの膝にから、そのまま内腿の間に沿って、俺の手を奥に滑り込ませた。手が一番奥につきあたった。ストッキングとショーツ越しに女の部分に軽く触れると、Mさんの口から『むむぅー』とため息が漏れた。
俺は車のナンバーの目隠しをして、二人で部屋へ向かった。
心に残った若干の後ろめたさからか、恥ずかしさからかMさんは俺のシャツの裾を、軽くつまんでうつむいてついてきた。
『イラッシャイマセ、清算はお帰りの際お願いします。ごゆっくりドーゾ』
部屋に入った瞬間、突然の自動精算機の音声にびっくりして、二人とも一瞬固まってしまった。顔を見合わせて、思わずほほえんでしまった。
「へぇーー、まだこんなシステムのままなんだ・・・」
俺は10年1日のカーホテルの変化のなさに驚いて、呟いてしまった。
久しぶりのカーホテル利用が、少し照れ臭かったせいもあるが。
振り向いて、トートバッグを胸に抱き締めた、Mさんの腕を取って引き寄せるた。Mさんはそのまま俺の胸に飛び込んできた。俺はきつく抱きしめて、目を閉じたMさんの唇に、俺の唇をそっと押し当てた。
まるで若者の幼い恋のようなふたりだった。
二人はベッドに腰を降ろすと、俺はMさんの肩を抱いてを引き寄せ、改めてキスをした。差し入れた舌に、唇を開いて優しく受け止めた。
ニットシャツの裾から手を滑り込ませ、片方の乳房をブラの上からそっと握りしめた。
シャツの胸の盛り上がりから想像はできたが、乳房は張り詰めた反動を、俺の手に返してきた。更にブラを押し上げて、両乳房を露出させ片方の乳首に吸い付いた。
『フウー―ウッ』
Mさんの大きなため息が漏れる。
Mさんをベッドに横たえて、しばらく乳首への甘噛みと、乳房への愛撫を繰り返した。
俺の唇をみぞおちからヘソへ、そしてスカートの上辺まで滑らせる。
右手でスカートの裾から太ももに沿って捲り上げる。ストッキング越しにショーツの上から、女の部分を軽く愛撫した。
車を降りるときの挨拶代わりの愛撫とは、明らかに性的要素の高いものだった。
しばらくの後、Mさんは俺の手を押さえて、やるせないため息をついた。
「待って先生、私、シャワーを浴びたい・・」
ここまで来たら別に焦る必要はない。
「分かったよ、そうしよう・・それじゃぁ、先に私が済ませてしまおう・・」
Mから身体を離し、ベッドを後にしてシャワーに向かった。
俺は簡単にシャワーをすませて、マウスウォッシュで口をゆすいだ。裸の腰にバスタオルを巻いただけで部屋に戻り、ベッドのMさんの横に腰を降ろした。
「Mさんも済ませておいで・・」
「はい、そうします・・」
Mさんは大事そうにトートバッグを胸に抱えて、バスルームに歩いて行った。見送るMさんのスカートの尻が、悩ましく左右に揺れた。
Mさんを送り出して、ダブルベッドの宮の部分に寄りかかると、ベッド横の広めのカーテンが気になった。興味に任せてカーテンを少し開けてみると、そこには大きなガラスがあって、向こうはバスルームだった。そういえば洗い場の鏡が、やけに大きくて広かったのを思い出した。
しばらくして、全裸のMさんがタオルをシャワーキャップ代わりに、髪に無造作にまいて、ドアを開けて入ってきた。俺は思わず見とれてしまった。
もうじき55歳の熟女だというのに、やや太めとはいえ身体の線、特に下半身のラインはほとんど崩れてはいなかった。
流石に毎週のように、テニスとスポーツジムで汗を流しているだけの事はある身体だった。
160cmのやや小太りの身体に、大き目の乳房は若干垂れてはいるが、程よい弾力である事は先程、両手と唇で確かめてある。下腹に少し余分な肉があるものの、見苦しいほどではない。むしろ卑猥な色気を感じさせる。尻は程よく垂れて、張りが若々しい。先ほど布越しに感じた陰毛は、処理されているのか、濃くも薄くもなく逆三角形に、黒い陰りを見せている。こんなに見事なプロポーションだったのか。
整体施術の時は、Mさんはいつも緩めのジャージに着替えるし、あえて異性として意識した目で見ることはなかったので、俺はMさんの新たな魅力の発見に、正直のところ驚いていた。
Mさんの旦那は、なんとこの身体を放置していたのか、10年間も。
Mさんは先ずシャワーを浴びて、両手にボディソープを垂らし、全身に塗りたくって洗い始めた。映画のいちシーンを見ているような心地だった。そのまま身体をこちらに向けてバスチェアに座わり、無防備に身体のソープを洗い流すMさん。股を遠慮がちに開き、指を陰毛の中の割れ目に差し入れて、ソープで丁寧に股間をこすり洗った。これから始まる儀式を意識してか、じっくりとオマンコにシャワーを当てる。当たる水の勢いが快感を呼ぶのか、Mさんはうっすらと目を閉じて、しばらく刺激に浸っていた。
俺のほんの目と鼻の先、距離にして数10センチに、こんな光景を見せられて、ペニスは反応し始めた。
これなら数年レスのギャップを案ずることなく、Mさんを抱くことができそうだ。
バスタオルを巻いて、恥ずかしそうにうつむきながら、バスルームからベッドに近づいてきた。
「おいで、ここに・・・」
ベッドの俺の横を指さすと、おずおずと近寄り、恥ずかしそうにシーツの中に身体を滑らせてきた。
「コレ、見て・・」
俺がベッドの横のガラスを指さすと、怪訝そうな顔をしてガラスの奥を覗き込んだが、それがなんであるかを理解して目を丸くした。
「キャッ!」
小さな叫び声をあげると、いまさら意味などないのに、両手で俺の目を塞いできた。
「先生、ここから見たんですか?私を?裸の私を!?・・やだっ、恥ずかしい!本当に見たんですか、全部?・・洗っているところも?・・」
俺は笑いながら黙ってうなずくと、Mさんはもう一度
「もぅ、やだっ、恥ずかしい!」
そう叫んでシーツの中にもぐりこんでしまった。
「Mさん、とても綺麗だったよ・・・久しぶりに目の保養をさせてもらった・・」
「やだっ!言わないで、言わないで、言わないで、恥ずかしい・・」
シーツにもぐりこんで、いやいやをした。
「それにしても整体施術のジャージの中身が、あんなにも素晴らしい身体だったなんて、思いもよらなかったよ!・・」
「だからぁ、先生、恥ずかしいから、言っちゃダメだってばぁ・・・」
シーツから上半身だけ這い出して、甘えて両手で俺の口をふさぎに来た時、Mさんのバスタオルが外れた。
剥き出しの乳房が、俺の裸の上半身に押し付けられた。
俺は両腕でMさんを受け止めると、背中に手を回し、思いきり抱き締めて口づけをした。
Mさんの口は、俺が使ったマウスウォッシュと同じ匂いがした。
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