平日の昼下がり……昼食を終えたサラリーマンが足早にビル街に向かって歩いていく……。
あれから何度か夫と話し合った結果、とある人と会う事になった。夫は詳しい事は話してくれない、会ってその人に気にいられると、その人と関係を持てるとのこと、よくわからないけど、今日は面接みたいなものだとか。
「スマホだとこの辺りなんだけど………」
相手から指定されたのはビル街の片隅にある喫茶店。
「ちょっと古ぼけてるわねぇ〜」
アイは妙な緊張と共に喫茶店の中に入る。
店内には数名の男性客と女性客、奥に一人の男性が………
「目印はテーブルに置かれた腕時計………」
そう言って店内の客のテーブルを見渡すと、奥に一人座る男性のテーブルに腕時計が………あの人が……
背をこちらに向けているので、男性の素顔はわからない、背中からの印象は、細身で落ち着いた様な雰囲気、遠目でもわかるぐらい高そうなジャケット身にまとう。
それでいてその姿には嫌味に感じない……
緊張しながら恐る恐る背後から声をかける………
「あの〜こんにちわ〜」
男は立ち上がりこちらを向いて会釈をする。
「こんにちわ!!今日はいい天気ですね!!」
やはり彼が夫の言っていた人………
合言葉はわたしが こんにちわ と声をかけると、 今日はいい天気ですねと と返してくる。
男はアイと歳も変わらないぐらいの、メガネをかけた身なりの良い紳士
男は手で席までエスコートをしてくれて、アイが着座するのを見てから男も座る。
「あの〜それで〜」
「まずは飲み物でもいかがですか?」
男はアイの言葉を遮る様に飲み物を勧める。
「え〜それでわコーヒーを頂きます。」
男は店員を呼んでコーヒーを2杯注文する………
すでに男は一杯目のコーヒーを嗜んでおり、アイに合わせて2杯目を注文をする。
しばしの沈黙の後、店員がコーヒーを運んでくる。
男は片手を広げてアイにコーヒー勧め、自らも一口…その後男はおもむろに……
「それで………さっきの質問ですが………」
「あっ…あの主人から今日は面談と聞いたのですが…」
男はにこりと笑みを浮かべ、アイを見る……何かを値踏みをしている様な視線で……
「そうですね……それでは3問ほど質問を」
そう言って男はニッコリと笑う
「貴女は現状に満足してますか?」
唐突な質問……なにを意図してるかわからない……
いや、わかっている、そのために夫と話し合ってここまで来た。
「いえ……」
アイは表情を変えず答える。
「それでわ貴女は変わりたい………ですか?」
さっきの質問とさほど変わらない当然答えは………
「………はい」
男はその言葉に無表情で………
「最後の質問です………全てを受け入れる覚悟は?」
覚悟……なにを覚悟するのだろう?目の前にいる男に身を委ねること?それなら………
「……はい」
男はその言葉に苦笑いをして……
「残念ながら今回の話は無かった事に……」
えっ!!なんで?抱かれる覚悟なら出来ているのに……
「そう……ですかぁ……ありがとうございました。
あの〜差し支えなければ理由を教えて頂きたいのですが……」
男は困った顔をして……
「そうですねぇ〜最後の質問なんですが、貴女は私に抱かれる覚悟を言っていました……。
わたしが求める覚悟……それは私に調教される覚悟です。」
えっ?なんの話?主人からそんな話は聞いていない……そもそも調教って……
アイは戸惑いながらも……
「すいません……言葉の意味が理解出来なくて……調教とは……」
男は無言でスマホを操作して一つの画像を見せる………
そこに写るのは公共の場で一人の女が、淫らな姿をして自慰行為をしている………。
「これは一例です。単純に言うと快楽に溺れて全てをさらけ出せる……わたしはそうなりたいと、真に願っている女性の手助けをしているのです。」
アイは思わず笑みを浮かべる……自身の奥底に眠る欲望を解放してくれる人……その人と出会えたから……
「一つわたしの話を聞いてくれますか?」
アイはこれまでのことを全て彼に話した………
彼はその話を無表情で聞いた後……
「わかりました一つテストをしましょう。
手段は問いません、今ここで果ててみてください。」
果てる……つまりここで逝くってこと……そんなことがわたしに出来るの?
アイは夫から言われた通りに、万が一のためにミニスカートにセクシーな下着、それとノーブラで彼に会っていた。
アイは強張りながらも恐る恐る、ブラウスのボタンを左手で何個か外し、その隙間から指で右乳首をあいぶする。
スカートの中に右手を入れてパンツ越しにクリトリスを指で撫でる……
会って間もない男の前での淫らな行為、何よりも昼下がりに他の客も居る空間で、一人自慰行為をする背徳感……脳が溶けていく感覚と体が熱く火照り、全身が痺れる様な快感で思わず、小さなため息混じりのあえぎ声が……
「アッ………アッ…!!」
けれど、どんなに強い快楽の波が押し寄せても、アイはここで果てることが出来なかった……
程なくしてアイは自慰行為をやめて……
「ここで果てる事が出来ませんでした。お時間をとらせて申し訳ありません。」
そう言って身なりを整えて立ちあがろうとした時、
「合格です。」
えっ?
「あの〜いまなんて?」
「合格です。先ほど申し上げ出す通り、わたしはそんな女性の手助けがしたいのです。わたしが貴女の中に眠る欲望をさらけ出して上げます。」
男はそう言って怪し笑みを浮かべた………。
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