心が折れてもう載せるのやめようと思ったんですが応援ありがとうございます。
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続きを載せます。良かったら読んでください。
それから数日経ったある日、うちに宅急便が届いた。
中にはいっぱいのタラバガニが入っていて、届け先はうちの住所、宛先は娘と私の連名、差出人には緑川聡とあった。
「ねぇ、さとみ。あなた緑川さんて人、知ってる?今日、緑川さんて人から私とさとみ宛に届け物が来たけどママには心当たりないわ」
大学から帰った娘に聞くと
「カニだよね。緑川って和広くんの名前で、多分お父さんからだよね?」
質問しているこちらを問いただすように返す娘に
「和広くんのお父さんは聡っていうの?…ってあなた、送られるのを知ってたならちゃんと言っておきなさい!でもどうしてこんなの送ってくれたの?」
「何かね、一度うちに挨拶に来たいって言ってたけどお父さんってトラックの運転手で休みがバラバラだから時間が合わないし、わざわざ挨拶なんかしなくていいよって言っての」
「でもね、そうはいかないって言い張ってね、挨拶代わりに今度北海道に行くからカニを送るって言ってたの」
「…へぇ~律儀な人なのね、会ったらちゃんとお礼言っておいてね」
翌々週、今度は宮崎のマンゴーが緑川聡から届いた。
「さとみ、緑川さんからまた届いたわよ。今度はマンゴー…」
「え?本当?どれどれ?」
…
…
「わ~ほんとだ~、美味しそう!」
包装を解いて中を見ながら歓声を上げる娘に
「ちょっと困るわ…カニもそうだけど、マンゴーって高いのよ!こんな高価なもの、度々貰えないわ」
窘めるように言う私に娘は
「だったらうちも何か返せばいいじゃない?」
「返すって言ってもね…こういうのって続くのよ。お返しをするとさらにそのお返しがあってそのお返し…」
「それにもし高いものをお返しして、もっと高いものを送られたら返せないじゃない?」
何かを思いついたように娘は言う。
「じゃ~お金をかけないお返し、したら?例えば和広くんの家はお母さんがいないからいつもコンビニ弁当や総菜を買って食べてるって言ってたの」
「だからね、ママが作りに行ってあげれば、喜ぶんじゃない?」
「そんなことで喜ぶのかしら?」
そう訝しげな私に娘は
「喜ぶと思うよ、前に和広くんの家で料理というかカレーを作ってあげてたのね。残ったのをお父さんも食べて、めっちゃ喜んでたって言ってたから」
「あ!、でもね、でもね…」
思い出したように娘は続ける
「多分お父さん、凄く畏まって、お返しするっていうと思うの、しかも体で返すって」
「そんなことを言う人いないわよ、冗談で言うなら別だけど」
娘の話がまた変な方に向きそうなので口を挟む私に
「まだ続きがあるの。聞いて。別にお父さんに悪気がないし、律儀な人だから無下に断ったりしないで、はいって受けてあげてほしいの」
あまりにも深刻そうに言う娘に笑いながら
「アハハ、いわれたらね。でもそんなこという人いないわよ」
「言われたら絶対受けてあげてね」
尚も続けようとする娘に
「はいはい。言われたらね」
…
…
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