「まったく、相変わらず下品ねぇ・・・もっと気の利いたこと言えないの?」
まだ久美子さんの左手はゲンさんの手に巻きついている。
もう体は前後に揺れていないが、青年の股間に伸びた右手だけが小刻みに揺れていた。
「おいおい、そう虐めてやんなよ、かわいそうだろ?」
その場をおさめたのはゲンさんの一言だった。
久美子さんに腕を抱かれたまま、お猪口に継がれた日本酒を口に運んでいく。
「ま、ボウズも悪かった、本当はメシを食いにきただけなんだろ?ムリヤリ付き合わせちゃったな」
「あ、その、いや、、、その、、、」
青年はガバッと顔を上げてゲンさんを見た。
けれどまたすぐに俯いてしまう。
そんなにこの時間が終わってほしくないのだろうか?
異常で、卑猥で、気持ちの良いアブノーマルな時間が終わるのが嫌なのだろうか?
その気持ちを煽るように、さっきから久美子さんの右手はゆったりと、ねっとりと動き続けていた。
「こんな時間まで悪かったね、そろそろお開きにしようじゃないか・・・あぁ、でも最近越してきたばかり、だったっけか?」
迷ってはいけない、俺のせいで迷惑はかけらんねぇ・・・そう言いながら、ゲンさんは青年の道案内を久美子さんに頼み始めた。
「いや、家まで送ってやれってんじゃないんだよ・・・ただ、近くまで送ってやんないと・・・家に帰れるくらいの場所まで送るだけなら良いだろう?」
そう言ってニッコリと笑うゲンさんに向かって、久美子さんが小さく「いいの?」と聞いた気がした。
その場の雰囲気のせいだろうか?少し不安そうな、けれど艶っぽい表情に見える。
「ちゃぁんと送ってやるんだよ?それに、俺の分も謝っておいとくれ」
そう言ってゲンさんは久美子さんと青年を送り出した。
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